3.1 鉄筋よりも軽くて強い耐放射線性複合材の開発

JEARI memo


図3-1 組紐状アラミド繊維強化複合材

高強度繊維であるアラミド繊維を組紐状に織り、新しいエポキシ樹脂組成物を含浸・ 硬化させた、すべて有機物からなる複合材です。

図3-2  アラミド繊維強化複合材の耐放射線性

新たに開発したアラミド繊維強化複合材の耐放射線性は、従来の複合材と比べて 30〜50倍高くなっています(強度の保持率が同じところの線量で比較しました)。
 核融合炉建屋のコンクリート構造物などには、強い磁場のため鉄筋に 磁気誘導電流が発生し、鉄筋コンクリートが劣化します。このため、鉄筋に代る 電気絶縁性で、しかも耐放射線性の高いコンクリート補強材が求められていました。  私たちは組紐状のアラミド繊維(有機芳香族ポリアミド繊維)を、スチレンオキサイドを 添加した新しいエポキシ樹脂組成物で硬化して複合材とし、耐放射線性を著しく 高めたコンクリート補強材を開発しました。
 新しい樹脂は加工性が良いために、直径3mm〜25mmの連続した複合材の 製造が可能となり、また、細いアラミド繊維の間に樹脂が均一に入って硬化すること により、非常に強度(1.6GPa)の高い複合材となります。この複合材の強度は 同じ重量で比較すると、鉄筋の15倍にもなります。また、耐放射線性は100MGyの 放射線照射後でも強度はほとんど低下しません。
このことから、この複合材は従来の複合材に比べ耐放射線性が30〜50倍高いこと がわかりました。  新たに開発された複合材は、核融合炉用建屋ばかりでなく、通常の建屋の コンクリート適用すると、落雷時の電磁障害からコンピュータ等の電子機器 にを保護できます。 また、この複合材は将来のリニアモーターカーや超伝導電力貯蔵施設などの コンクリート構造物への適用など用途が極めて広い材料です。
参考文献
宇田川昂他,コンクリート補強材としての高耐放射線性アラミド繊維強化複合材料の開発, 原子力工業,43(6),34(1997).