| 熱硬化型 含浸樹脂の粘度上昇の管理について | ||||||||||||||||||||||||||||
| 熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂, アルキド樹脂,フェノール系樹脂) | ||||||||||||||||||||||||||||
| などの液状樹脂では 含浸したり、塗装したりする場合にはその粘度の管理がとても重要です。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 樹脂の粘度が上昇することは これらの樹脂を用いての作業性の低下や樹脂の反応の加速的 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 促進が起こり、液状樹脂として使用できなくなるからです。特に 反応進行が早い、ラヂカル反応 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 主体の不飽和ポリエステルのようなものは 反応が始まると あ・・・????と 言う間に | ||||||||||||||||||||||||||||
| 発熱反応を伴って 3次元架橋硬化が完了する事があります。 また このときの発熱も大きく | ||||||||||||||||||||||||||||
| 使用量が多いときにその樹脂の内部にこもった熱が樹脂を過加熱して発煙・発火の | ||||||||||||||||||||||||||||
| 誘因となる事もあります。 従って適切な反応管理(粘度管理)、冷却対策などが必要です。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| この粘度管理においては | ||||||||||||||||||||||||||||
| 適度な時期に このまま使用できるか、 いや 今後使用するには危険だ の判断が必要に | ||||||||||||||||||||||||||||
| なりますね。 | 実用面においては 樹脂の粘度上昇したら 新規な樹脂を添加配合して 反応性を | |||||||||||||||||||||||||||
| 遅らせて 使用時期の延長化を図るのも必要でしょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| これらの判断を どのようにするのか そのひとつの方法論を以下に示します。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| ただし この方法が絶対的な方法ではないので 十分に検討して実用化適用が必要です。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| (1) 粘度変化に関する反応速度係数の検討 | ||||||||||||||||||||||||||||
| たとえば 今ある熱硬化性 液状樹脂の粘度の変化の例 が図1のようであるとしましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||
![]()
|
(ポアズ) | |||||||||||||||||||||||||||
| 2.2 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 2 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1.8 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1.6 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1.4 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1.2 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0.8 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0.6 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0.4 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0.2 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 10 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 | 70 | ||||||||||||||||||||||
| 時間 t | (d) | |||||||||||||||||||||||||||
| 図 1 樹脂の粘度変化(シェルフライフ : 室温保管) | ||||||||||||||||||||||||||||
| 含浸樹脂などは エポキシ樹脂 , ポリエステル樹脂等が使用され、使用粘度の変化は | ||||||||||||||||||||||||||||
| 反応速度係数に関係する。 これらの樹脂は1次反応か、2次反応である事が知られている。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| そこで 次に この図1の場合の樹脂粘度と反応速度係数の関係を見てみましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 一般に含浸樹脂の粘度上昇反応は | η(t) = η0 | * exp (Kt) としましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||
| η(t) | : | t 時間後の粘度 | ||||||||||||||||||||||||||
| η0 | : | 初期粘度 | ||||||||||||||||||||||||||
| K | : 反応速度係数 | |||||||||||||||||||||||||||
| この式は ある面で 拡散式に展開に類似していますね。考えてみれば 樹脂粘度の上昇は | ||||||||||||||||||||||||||||
| 反応開始剤(反応火付け剤とでも言いましょう)の拡散分布に従って 変化すると考えると | ||||||||||||||||||||||||||||
| 理解しやすいことになりませんか。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 反応速度係数 は従って K =(1/t)* ln(η/η0) となるので | ||||||||||||||||||||||||||||
| 図1 から 粘度と時間の関係を整理して Kを求めると | ||||||||||||||||||||||||||||
| t(日) | 0 | 25 | 55 | 0日〜25日の場合 ; | ||||||||||||||||||||||||
| η(ポイ | 0.3 | 0.6 | 1.6 | K=(1/25)*ln(0.6/0.3)=0.0277 | ||||||||||||||||||||||||
| K | ー | 0.028 | 0.03 | 0日〜55日 の場合 ; | ||||||||||||||||||||||||
| K=(1/55)*ln(1.6/0.3)=0.0304 | ||||||||||||||||||||||||||||
| これから この含浸樹脂の 反応速度係数は 概ね 0.03 が限界といえます。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| この意味は 反応速度係数が 0.03以上になる事は 粘度管理として望ましくないという事です。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 従って Kが 0.03に 近づいたら 新たな新鮮な 含浸樹脂を添加して反応を遅延させる | ||||||||||||||||||||||||||||
| 事が必要になります。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| (2)樹脂粘度の管理の実際 | ||||||||||||||||||||||||||||
| K =(1/t)* ln(η/η0) | ||||||||||||||||||||||||||||
| この式から 粘度と時間の関係をグラフ化すると以下になる。 | ||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||
| 55 | ||||||||||||||||||||||||||||
| d(日) | ||||||||||||||||||||||||||||
| 0 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||||||||||||||||||||||||
| (η/η0) | ||||||||||||||||||||||||||||
| @ 粘度と経過時間 の関係 把握 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 上図のイメージになる。 Kが小さくなれば粘度管理限界に至る時間は長くなるので | ||||||||||||||||||||||||||||
| それだけ 安心できる事がわかる。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| たとえば 上図で K=0.025 の場合は 粘度管理限界に至る時間は55日を越えて | ||||||||||||||||||||||||||||
| いる。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| A 初めて 新たな含浸樹脂を使用して 何日か後に 粘度測定したら η/η0=4 | ||||||||||||||||||||||||||||
| であった。 K=0.03の状態で そろそろ 粘度限界に近いので 新たに含浸樹脂を | ||||||||||||||||||||||||||||
| 添加した。すなわち |
|
|
に 移行させた。 | |||||||||||||||||||||||||
| B この要に新たな樹脂を添加した後の樹脂の粘度変化は | ||||||||||||||||||||||||||||
| K=0.03を 維持した反応であれば 粘度管理限界まで 35日 | ||||||||||||||||||||||||||||
| K=0.025に低下した反応であれば 粘度管理限界まで 55日 | ||||||||||||||||||||||||||||
| と 予想される 事がわかります。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 含浸樹脂成分、保管温度もまったく まったく同じで あれば その反応速度係数は | ||||||||||||||||||||||||||||
| 新たな含浸樹脂を添加してもほとんど変わらない可能性もありますが | ||||||||||||||||||||||||||||
| 実際には 作業時に 他の溶出成分・水分・温度条件が変化するので 反応速度 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 係数を 当初設定の K=0.03以上にするような 要因は 管理して除外しておく事が | ||||||||||||||||||||||||||||
| 重要です。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| すなわち 新樹脂添加後の反応速度係数は 当初設定の最大値(今回例ではK=0.03) | ||||||||||||||||||||||||||||
| で推移するように管理すべきでありましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||