はい。初作から一年。2006年夏の物です。
もういろいろ書きたいことがあるのでラストでお会いしましょう。



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上には深く蒼い    まるで全てを見通しているような空


下には雨上がりのべっとりとした土


前には見知らぬ名の街の看板





此処はどこ?






そして




私は誰?



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気づいたらそこにいた。
ただ柵が両脇に並んでいるだけの道。
柵の向こうの芝生に花が一輪咲いている。
ただただ殺風景である。




何故此処にいるのだろう

私は・・誰?


何も思い出せない。



とりあえず前にある看板を通り、門をぬけた。


気づくと赤茶色のレンガでできた、暗く狭い路地を通っていた。



とにかく探そうか
でも何を?


また自分に問いかける。何を探せばいいのだろう。




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路地を抜け、ざわめいた大きな道にでた。眩しい。




着飾った婦人や小さな子供が行き交い、
上を見れば窓から顔を出して寝ている者や昼間から酒飲んで酔った者、
がビールを下の者にかけている。
どこの部屋からかレコードの音が漏れている、ジャズだ。


右へ曲がった。パン屋だ。

かごにはいったクロワッサンが店頭に置いてある。

チリン

亭主と思われる白髪交じりの男が店からでてきた。
腕に抱えたかごの中にはできたてのパン。

「今日は風が強いなあ。すぐ冷えちまうよ」

むっとした顔をしながら呟いた。


かぜ・・・?
とその時、後ろから爆音と同時に建物の崩れる音がした。

そして、馬の駆けてくる音が聞こえてくる。



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道を歩いていた人達は音のもとに振り向き、
一瞬その状態を呑み込めないまま呆然としていたがハッと我に返り、
次々とくる爆音から逃げるように走った。


亭主の顔が血の気を失ったかのように真っ青になった。
持っていたかごを落としてしまったが、それに気づく様子もない。


「戦争か・・?」
そう言い終わらないうちに走り出した。



戦争?いま一応レコードの音が漏れてる時代に?テロとかじゃなくて?

けれどなんとなく、人々が逃げる逆の方向に行こうと思った。

何か見つかるかもしれない


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すると、先に砂がまい、加速していって砂嵐となった。

「落ちつ---」

ドスンッ
向こうの誰かが言ったと同時に馬が暴れだし、馬から落ちる音が聞こえた。

「しょうがない、今日は諦めるか、退け!」

馬の駆ける音が遠のいていく。

このぐらいで退くのならば---少人数か

しばらくすると砂嵐はやみ、そこには誰もいなかった。

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もういっか ここをでよう


人々が逃げていった方向へ向かっていくと、ちょっと変わった通りに差し掛かった。
右には洋服屋や、アクセサリー屋、食器を売っている店や紅茶を売っている店が綺麗に並んでいる。
左には黄土色、肌色、茶色と少しまとまった色達で家々がみっしりと隙間なくうめつくしていた。
右と左はまるで違う世界のようだ。


街には人気がなく、ただ大人達に置いていかれた小さな子供が、家を探して彷徨っていた。
逃げる音ももうしなく、静かな街にただジャズの曲が陽気に流れている。

リーンゴーン
10時を知らせる鐘が響き渡る。余韻が消えると街はまた静寂につつまれた。




しばらくすると前にきらっと光るものがみえた。
坂道を下ると、
水色の空よりも濃く、
最初見た空よりも深く蒼い海が広がっている。



何処か近くても遠くとも
自分を思い出せるところを探しに行こう

海を渡った。

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辿り着いた。遠い何処かに。


此処はどこだろう?







下を見ると真っ白だった。きらきらと光る。


牛乳よりも白く
そしてかすかに青い





前を見ると…白い何かが降っている。


上を見ると灰色の空。だが白い何かが邪魔で、よく見る事はできなかった。



この白いのは







雪・・・?


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驚いた。一つだけれど、初めて思い出すことができた。


雪は上から下へ落ちて


地面に触れると、とけてしまう。



少しの間 宙を舞って 落ちてゆく。




こんな少しの短い時間


けれど


美しく舞う事ができる唯一の時間




綺麗だ

ザザザザーッ
いきなり雪が降るのが早くなった。

吹雪。


けれどー・・

舞っている。



まるで大きな舞台を一人で使っているような舞い方だ。



けれど雪自体の舞ではない

雪の舞を誰かが邪魔している。



これは誰の舞?

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私?


雪の舞を邪魔している?

去らねば。








気づくと、上から何か落ちてきた。

枯れ葉。




此処はー・・・










いつのまに来たんだろう



上は曇りの空。だが、木の枝で光が少ししか入らない。

下は枯れ葉の道。







しばらくじっとしていると、木の声が聞こえた。

「また葉が散っちゃったわよー」

「あら大丈夫?これから夏だってのに大変ね」

「最近、虫がいるじゃない なんか変な虫が」

「あー私のところもそうよ さっきなんて一気に10枚も落ちたもの」

「夏にはげるなんてやだわースポーツ狩りじゃあないし」

「誰かこの虫どっかにやってくれないかしらね」

「鳥にはこれは食べれない虫みたいですわねー」


こんなご近所の雑談が聞こえてくる。

鳥でも無理ー・・か
夏までに全部の葉が落ちてしまうのはどこか可哀想だった。

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「リスは?どこにいるの?リスさーん」

「リスさんは今旅行中よ。あっちの森に行ってるみたい。」

「子育てが終る頃だからそろそろじゃないのかしら?」

「というよりリスさんは虫食べていらっしゃったっけ」

「あー・・」

動物でもとれないなら本当に夏までに全て落ちてしまう---

「じゃあこうなったら風に落としてもらうしか・・・」



かぜ・・?

何かにひっかかった。


枯れ葉がすこし動き始めた。


かぜとは何だ?かぜ----

木がすこしゆれてきた。
「風?風さん?!」

ビョォォォォォ…

一気に砂嵐になった。虫が宙を舞う。




何か自分の中で「かぜ」という言葉がつっかかる。
まるで懐かしいような。



・・・・次の所へ行ってみよう




砂嵐がやんだ時にはもういなかった。


木々は喜びの声をあげていた。
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どのぐらいたったか。




下は草原



上はオレンジ色の空


前には紅い夕日。





かぜ・・・風邪・・・糧・・・課税・・・

私は誰?夕日が答えを言ってくれるのを期待するかのようにじっと見た。
答えてくれるはずがないと知っていても紅い夕日を見ていた。



ふと下を見ると
スッと伸びた雑草があった。

この雑草は私が見えているのだろうか
きっと見えない---見えていない




日が沈み、暗くなり始めた事にも気づかずに下を見ていた。
思い出せない。

ふと上を見た。
その瞬間、走馬灯のように今日の記憶が蘇った。

(「今日は風が強いなあ」)

(これは誰の舞?)

(雪の舞を邪魔している?)

(「じゃあこうなったら風に落としてもらうしか・・・」)

(かぜ・・・?)

(「風?風さん?!」)





ブワッ




草原が一面に広がった







雪の舞は見えても
私のは見えない


けれど


その舞を
感じられる


風の舞----









「風」






自分は、風だ。












見上げれば満天の星空が、
祝福しているかのように白く輝いていた。

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はいはいはいはいはははははーい
最初っから自分で書くとものっそい体力使うのですね。
参考資料何もないとほんと、ほんと。
まぁ全てのに共通してますが。
鍵となる文だけを並べたって駄目なんです。
サブの文をどれだけ考えるかが大変なんです。
読み直すと文がない!ここいれなくちゃ!でも思いつかない!
という非常事態がいつもおこります。

これをいつかMIDIつけてページにしようと思ってたんですけど
メンドクサイですねそうですね。

この小説を書こうと思ったきっかけはあれです。
ただ最後の満点の星空が輝いていた
というのにつなげたいばかりにかきはじめたのです。その一文の為だけに(逃
曲のCOSMOSが頭からはなれなくて。うん。草原ってのも書きたかっただけです。


はい、逃げまして。

その時は全然意識してなかったんですけどてかフィクションだったんですけど
風の気持ちってほんとにあるもので。
でもまー風さんが記憶なくしたら終わりですよね。

いろいろつっこめるのがありますけど言ったら読み手に支障がでるので、はい。

この舞台はー
20世紀最初の首都から少し離れたヨーロッパが最初で(フランス?イギリス?
上流階級の紳士達がいました。貴婦人も。

でその次、海にとびますね。
でその次、北極?南極?
でその次、森、林?
でその次、インジャパンでお願いします。いやどこでもいいけど。


まぁ、結構長編でした。