最初に発見したのがサーフだったことが、良かったのか悪かったのかはわからない。
 ただ1つはっきりしていたのは、男達に凌辱されたシエロが虚ろな目で床に転がっているという、純然たる事実。
 サーフは傍らに跪き、両腕に食い込んだ縛めを解いてやると、できる限り静かにシエロを抱き起こした。
「――兄貴……」
 どれだけ苦痛を味わわせてしまったのだろうか。血と精液にまみれ、抵抗した倍以上の暴力を受けた痕跡がそこかしこに残る。涙も涸れ果ててぼろぼろの顔を歪めたシエロは、しかし微かに笑って呟いた。
「ここを通りがかったのがセラじゃなくて、良かったぁ……」
 もう言うな、とシエロの唇に人差し指を置き、サーフは傷ついた小さな体を抱えて立ち上がった。
「兄貴、お願い……ゲイルには言わないで……」
 きっと、悲しませてしまうから。
 サーフは目を伏せた。
「……悪いが、約束はできない」
 大股に廊下を走る足音が近づいてくる。彼もシエロを捜している最中だった。もうすぐ、ここに辿り着くはずだ。
 サーフの中で犯人の目星はついていた。留守中だったとは言え、構成員が起こした事件の責任はボスの自分にある。
 ならば、ボスに相応しい断罪の仕方をくれてやろう。
 足音は背後で止まった。全ての痛みを引き受ける覚悟で、サーフはゆっくりと振り返った。