陽だまり、のような。
土と風と太陽の匂いをつれてくる彼。
傍にいるだけで、何故だかとても心地よい。
◇ひなたぼっこ◇
昼食をとった後の、穏やかな午後。
あたたかい日差しが降り注ぎ、心地よい陽気で程よい気温の良い天気。
キニスンはいつもの木陰で、相棒のシロと共にのんびりとしていた。
木の幹に体を預け、時折吹く柔らかな風に目を細め、シロの頭を撫でる。
「シロ、重くない?」
自分の隣に体を伏せているシロに向かって彼は苦笑しながら尋ねた。
シロは小さく声を上げただけで、特に苦しそう、という様子も見せなかった。
シロの体に、我らが軍主の頭が乗っている。
その隣に、少年忍者の頭。
二人は心地よさそうに、すやすやと寝息をたてていた。
シロと反対側のキニスンの隣には、小さな白い竜とその主である少年の姿。 こちらも、やはり二人と同じように穏やかな寝息をたてて眠っている。
「ここのところ、日課になってしまったね」
少しひそめられた声が木の上から声が降ってきた。
キニスンが笑みを絶やさないまま、上を見る。
太い枝に、トランの英雄が腰掛けている。手の中には薄い本があり、ページはもう終盤のようだ。
彼はキニスンに視線をやり、穏やかに微笑んだ。
「天気がいいと、皆ここで昼寝だ」
「折角良い天気ですから、ひなたぼっこしたいんですよ」
「確かにいい天気だ」
しおりを挟んで本を閉じる。頭の後ろで腕を組んで、軽く木に寄りかかった。
「僕も眠ろうかな」
キニスンが小さく笑い声を立てて、それからどうぞ、と楽しそうに言った。
それから暫くは誰の声も無く、静かに静かに時間が過ぎていった。
「…何これ」
そろそろ夕刻と呼ばれる時間にもなろうか、というくらいに、風使いの少年は呟いた。
「ひなたぼっこしてる集団?」
風使いの後ろから疑問符つきで答えたのは、地図職人である。
彼らは図書館からの帰り道、奇妙な光景を見つけてしまい足を止め、先ほどのような会話を交わした。
彼らが見たのは、手足を思い切り広げて眠っている軍主と、白い狼犬を抱きしめるようにして眠っている少年忍者。
また少々寝づらそうな体勢になっている白い竜を抱いたまま、横向きに眠っている少年。
木の上には膝の上の本が今にも落ちそうになりながら、珍しく穏やかな表情で眠っているトランの英雄。
そしてその下に、少々困り顔のまま座っているキニスンである。
風使いは、呆れを含めた声音でキニスンに尋ねた。
「…何してんの」
キニスンは二人を見止め、苦笑を浮かべた。
「皆でひなたぼっこしてたんですけど…起こそうにも、皆気持ちよさそうで」
「確かに皆熟睡だね」
地図職人が軍主の顔をのぞきこみ、同意する。
「そろそろ部屋に帰らないと、とは思うんですが」
「このまま寝てて風邪でもひかれたら困るしね。起こそうか」
二人の会話に、風使いが盛大にため息をついた。
「…放っておきなよ。馬鹿は風邪ひかないんだから」
「え」
きょとんとする二人をよそに、風使いはキニスンの腕をとって強引に立ち上がらせる。
「あんたまで付き合うことはないよ」
彼の顔も見ずに言い、そのまま腕を引いて歩き出す。
「あ、あの」
キニスンは困惑したように何度も後ろを振り返るが、風使いは足を止めない。
苦笑しながら、地図職人が手を振った。
「ボクが起こしておくからさ」
まだ心配そうにしながら、申し訳なさそうな表情をするキニスンと、後ろなど全く気にせず進んでいく風邪使いの姿を、ため息をついて地図職人が眺めていた。
それから後ろを振り返り、今度は楽しそうに笑った。
「キニスンってば人気者だね」
結局、心配したキニスンとそれに付き合った風使いが戻ってきて、皆は起こされ、仲良く城に戻っていった。
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直刃流様 06.03.28
モドル