南山城、佐保・佐紀路の見ブツ記 2

04 : 不退寺 〜じゅんの瓦はどこへ・・・

昼食後、不退寺を目指しました。バスに乗ろうと思ったのですが、これまた本数が少なく、 待ってるのも何なので、バスが追いつくまで歩こう、ということになりました。 (途中、ゆみこが「大仏あんぱん」を買いました。すごく重いあんぱんでした。どんだけあんこ詰まってるんだろう;) 結局、目的の2つほど手前のバス停から乗り込んだんですが、道がやたらと混んでたので、歩いた方が早かったと思います(笑)。

お寺の看板のあがっている角を曲がり、JRの踏み切りを越えて不退寺へ。境内は工事中の部分があり、少々雑然とした様子。 まぁそれでも目的はブツだし、気にせずお堂へ上がりました。 そこにいらっしゃるのは、胡粉の白と、耳の横の、リボンのように見える布が特徴的な聖観音(藤原時代)さま。 ゆみこはこのブツに会うのは初めてなので、「かわいいでしょ、かわいいでしょ」と念押ししておきました(笑)。 ブツの前に進み出ると、後ろに控えていた老住職の、濁声(爆)での説明が始まりました。 色が落ちてしまっているけど、こちらは彩色ブツで、近年までは秘仏で100年に1回しかお目にかかれなかったそうです。 そのおかげで、胡粉の白は残っていますし、台座などははっきりと色が判別できます。でも、この先どんどん色が落ちていくんだろうな。 そう思うと秘仏の方がいいんじゃないかと思うんですが、それで某古墳の壁画みたいにカビとか生えて台無しになるよりかは、 例え美しい衣の色が剥げ落ちてしまおうとも、凡夫にお姿を晒してくださる方がいいのかも…。 うん、きっとブツは外見に執着したりしないから、そうに違いない。
他、五大明王がリボン観音を守るように配置されています。牛に乗ってる大威徳明王には足が6本あるのですが、 ゆみこは知らなかったらしく、非常に面白がっていました。しかし、足が6本もあったらむしろ歩きにくそうだけどな。 牛に乗ってるから別にいいのかな。なんて言ってたら大威徳明王に口裂かれて殺されるな(爆)。

そういえば、前回は雑誌「SAVVY」の最初の奈良特集が出てすぐくらいだったから、みうらじゅん氏とモデルのはなさんが奉納した 瓦が置かれていたんですが、今回は柴門ふみさんの瓦になってました。じゅんの瓦、どこ行ったんだろう…。

05 : 海龍王寺 〜見なきゃだめだ、やっぱり

続いて海龍王寺を目指しました。途中、界隈では有名な小龍包のお店「天真爛漫」を探したんですが、何故か見つからず…。 一度は食べてみたいです。 しかし、この辺りも学校があるというのに歩道が狭くて怖いです。奈良は奈良公園周辺以外は歩道が狭い気が。 もうちょっとなんとかならないかな…。

海龍王寺は相変わらずわかりにくいところにありました。あやうく手前の春日神社に入ってしまうところでした; 朽ちかけた山門をくぐり、手入れがなされているのかどうか非常に怪しい参道を抜けると、右手に突然真新しいお地蔵様が現れます。 そこには、綺麗に咲かせた桜草や、仏花が飾られていて、さっきまでの朽ちかけ感が急になくなります。「このギャップは一体」と首をひねるゆみこに、 「きっとここまでが観音の力の及ぶ範囲、結界なんだよ」と言っておきました。 観音の力はそんなに狭い範囲なのか、というツッコミはなしにしてください。
境内は今を盛りとユキヤナギが咲き誇っていました。そのせいか、観光客も少し多く、「この寺は流行ってるね」と言わずにおれませんでした。

さて、お堂に上がり、まずは左手にいらっしゃる文殊立像にごあいさつ。
「文殊の立像って珍しいよね」
「いつも獅子に乗ってるしね」」
「てか、これは何を以てして文殊だと言ってるわけ?」
「ぱっと見普通の観音立像だよね」
「このお供えものを飾る器もすごいね。縦に4段。あれっぽい」
「あぁ、あれね、スコーン。」
「そうそう、それそれ!!同じこと思った!!」
「あ、アフタヌーンティーセットだ。てか、アフタヌーン供物?」
「バナナ、青い状態から飾られてるし」
物凄く罰当たりな会話をしてしまいました;
しかしこの文殊が連れている、左側のヤツのポーズが最高にイイ。「ウェルカーム!!」という声が聞こえてきそう。イイ。あんたイイよ。 …と、おもしろブツにテンションを上げていたのですが、本尊の十一面観音(鎌倉時代)を見てびっくり。 小さい。そして美しい。なんだこの細かい装飾品の数々は。そして衣の模様は…!!
私は1回この仏像に会ってるはずなんですが、すっかり忘れてました。こんなに小さくて美人だったのか…!!
「これ、ずっと秘仏だったからこんなに模様残ってるんだね」
「そうだね〜」
「模様、消えていくんだろうけどね…」
これぞ諸行無常。模様の美しさなど、上辺の美しさに過ぎないのです。 本堂横の小さなお堂から聞こえてくる(大勢の人による)般若心経をBGMに、しばしうっとり。 やっぱり見なきゃダメですね、ブツは。1回見たからって、せめて2年に1回は見なきゃダメ。うん、見なきゃダメだ。

さてさて、この本堂には、麗しい十一面の他に興味を引くものがもう1つ。それは中央の修法壇(って言うんですかね…)。 お水の入った舎利容器が、8つほど丸い形に並べられていたのです。一体何かと思っていたら、小さな札が貼ってあり、 そこには「種子島」だの「遠州灘」だの、海の名前が書いてありました。説明書きには「四海安穏祈願」とありました。 長い間この海と交通の安全を祈願する途絶えていた法要を、平成16年に復活されたそうで、つまり舎利容器の中身は海の水。 わざわざ汲みに行ったんでしょうか、それとも送られてくるのかなぁ・・・。

本堂を出て、西金堂へ。中のミニチュア五重塔をゆみこが家に欲しいというので、「これが家にあったら毎日『黄の服の男ごっこ(c)処天』やるよ、私」とか言ってたんですが、 ゆみこの「まず、こんなの入る家に住めない」という鋭い見解に、夢はあっけなく崩れ去ったのでした。
ちなみに、本堂の十一面の厨子の下に、みうらじゅん氏からの供物(お酒の一升瓶3本)がありました!!確かみうら氏(いやむしろ師)は 海龍王寺好きだったな…。

05 : 法華寺 〜「三千代っぽい!」

海龍王寺から出る際、私はゆみこに過去の哀しい思い出を話していました。
「実は前回ここへ来た時、24号線を渡る歩道橋で、捻挫したんだよ…」
そう、生まれて初めての本格的な捻挫のせいで、海龍王寺とこれから向かう法華寺に関しては、 「痛かった」という記憶しかなかったのです(。 そのせいであの十一面の美しい姿を忘れていたなんて。まだまだ修行が足りません…。

さて、法華寺は目と鼻の先です。門前で「総国分尼寺」の文字を見つけ、二人で「そりゃすごい!」と言いながら境内へ入りました。 境内には見慣れない花が咲いていました。外来種です。ゆみこが首をひねりました。
「なんか似つかわしくない…」
何かこの場にふさわしい表現を探しているようだったので、怒られるのを承知で、言ってみました。
「言葉は悪いけど…ケバい感じがする。」
するとゆみこは我が意を得たとばかりにうなずき、
「そう、ケバい!三千代っぽい!!」
何かしら法華寺に反発を感じていた二人は、ここで悟りました。三千代だ、全て三千代のせいだったのだ、と。

なんかちょっとすっきりした気分で本堂に入ると、小さな老尼さまが読経の真っ最中でした。 動き回るのははばかられたので、大人しく座っていると、ゆみこがこっそり「さっきまでのお寺とは違うね。お供え物も豪華。 みて、(網目のある)メロンだよ!(海龍王寺の)青いバナナとは違うよ!!」
うーん、確かにブルジョワジーな香りが…。
お経が終わると、突然説明テープが流れ出しました。 そこで改めてご本尊の十一面さま(平安時代)を見上げました。ああ、このブツ…好みじゃない(爆)。
捻挫のせいで覚えてないんですが、多分初めて来た時もそう思ったんだろうけど、思ったより小さいです。 手先や、少し上げられた足の親指の表現なんかは、すごく秀逸で美しい。完璧に「一瞬」を捉えている。 でも、顔が。顔が怖いんです、どうも。アジア方面の顔とも違う感じがします。どこなんだろう…とりあえず掘りが深くて、私にはしっくり来ないんです。 蓮華後背とかも珍しくて、優れた仏像だとは思うんですが………ダメだ。ごめんなさい。エキゾチックすぎて、どうも…; これが、秋篠寺の技芸天のような柔和なお顔だったら、一瞬で恋してたと思うんですがねぇ…。

違和感を抱えたまま他の仏像を見て周り(仏頭がナイス。帝釈天がなんともプリティー)、違和感を消化できないままお堂を後に。 どうやらゆみこも同じだったようで、「私もあんまり好きじゃないかも」と言ってました。 よく言えば華やか、悪く言えばちょっとケバい感じ。ファンの方には申し訳ないですが、学会では評判悪かったです; 三千代と安宿とは、気が合わないんだろうな、きっと…。

06 : 終幕 〜 後日譚

法華寺を後にしたのが3時過ぎ。うまくいけば西大寺も狙えるかも、と思ってたんですが、 「怪しい道を行く」という学会の悪い癖が出てしまい、 何度も道の選択に失敗しながらさ迷い歩き、ようやく平城京跡に入り込めた時点でタイムアウト。 仕方がないのでこれまた数年ぶりにならファミリーを目指し、 中のカフェでマンゴーパフェを食べてから家路につきました。
その翌日、ゆみこにちょっとしたメールを送ったのですが、一向に返事がない。どうしたのだろうと思っていたら、

「実は奈良の翌日に急性胃腸炎に罹ってさ、仕事も2日休んだ。」

なんということでしょう。実は私も、奈良に行った翌日、風邪でもないのに咽喉をやられて声が出なかったのです。
…仏罰か?
法華寺の仏罰だったのか…?!

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