九面観音さんのある一日<手帳公開>


ゆみこ:「はい、みなさんこんにちは。この時間ご一緒するのは私ゆみこと、」

太子:「この私、聖徳太子である。こんな陳腐な社会人と一緒に仕事をするのは気が進まぬが、この者がどうしてもと懇願するものだから、仏の慈悲を実践する者として仕方なく承諾してやったのだ。」

ゆみこ:「偉そうな態度して何が仏の慈悲なんだか。とにかく私たち二人でこの番組を進めていきますので、どうぞよろしくおねがいしまーす。といわけで、第一回目は法隆寺の九面観音さんの一日を紹介します。」

06:00 起床、朝食(クロワッサン、アップルティー、フルーツヨーグルト)
07:30 出発
08:00 各地の大通りにて交通整備
09:00 小学校で交通安全レッスン
12:00 昼食(ほうれん草のおひたし、きのこご飯、ワカメと豆腐のお味噌汁)
12:30 ウィンドウショッピング
13:30 昼の繁華街査察
14:30 警察署にて新人の特訓
16:00 少し遅いアフタヌーンティー
16:30 法隆寺のための夕食の買い物
18:30 夕食(かつおだしのおかゆ、しろあえ、おでん)
20:00 繁華街で青少年の補導担当
22:30 ゾクの取り締まり
00:30 入浴、自宅エステ
01:00 就寝

ゆみこ:「これがねえさんの手帳ですかー。」

太子:「第一回に我が法隆寺のブツが登場するとは、さすが、我が寺、他の追随をゆるさぬ。」

ゆみこ:「またそんなこと自慢して。いまは法隆寺の権威とかは関係ないんやってば。」

太子:「実は私もそろそろ法隆寺ブツ全員にこれを言うのを疲れてきたのだ。」

ゆみこ:「まったく。それはおいといて、九面さんはなにやら大変なお仕事ぶりですね。」

太子:「うーむ、法隆寺にいる時もいつも忙しそうにしておられるが、オフの日もこんなだとは。感服いたした。」

ゆみこ:「交通関係と、青少年に関する仕事が多いですよね。」

太子:「九面ねえさんは子ども好きだからな。」

ゆみこ:「ご飯のメニューまで手帳に書き込むとは。食べることが好きなんでしょうね。それにおしゃれさんなだけあって、ヘルシーな食事。朝は洋食なんだ。アフタヌーンティーなんてのもありますね。」

太子:「九面さんの夢は「お嫁さん」だから、食事の栄養価とかを熱心に研究していると夢違観音が言ってたぞ。」

ゆみこ:「この、法隆寺のための買い物ってのはなんですか?」

太子:「あぁ、いつも寺の夕食の買い出しは九面観音が行ってるんだ。」

ゆみこ:「えぇっ!? 国宝ブツに買い物に行かせてるんですか?信じられない! 太子が行ったらいいやん。暇なんやし。なにも九面さんに押し付けることないでしょうに。」

太子:「九面ねえさんが自発的に行っているのだ。料理もうまいし、栄養価もばっちりだし、寺の者は皆ねえさんに感謝しているのだ。」

ゆみこ:「いいな、ねえさんの手料理たべられて。」

太子:「ふん、そなたのような者は無理無理。」

ゆみこ:「むかっ。ふん、べつにいいですよ。ところで22:30からゾクの取り締まりってあるけど、ゾクってもっと遅い時間に活動するような。」

太子:「活動前に一網打尽ってことではないか。活動してからじゃ世間に迷惑かかるし、それはねえさんの望むところではないはずだ。」

ゆみこ:「なるほど、太子も考えてるんだ。」

太子:「人を馬鹿あつかいするな! それになんだ、そなただんだんと私に対してタメ口をきくようにようになってきたな。歴史上の偉人に対する態度とは思えん!」

ゆみこ:「太子だって現代言葉多くなってきてるで。飛鳥人の心を忘れたんちゃうの。」

太子:「なにを! そなたも標準語を捨てて関西弁を多用して、全国ネットの放送であることを忘れてるんじゃないのか。」

ゆみこ:「太子にそんな事言われたくないわ!」

太子:「こっちのせりふだ! だいたいこの番組自体・・・・・(会話は続くよどこまでも)」

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