やあ、僕の名前は碇シンジ。
 父親に呼ばれて第三新東京市に来たんだ。
 それなのにいきなり国連の重戦闘機に潰されちゃったよ。






グシャ






 こんな感じでね。
 え? じゃあ、なんで話せるのかって?
 それはこのあと読めばわかるさ。






電波でGO!








第二話 欠陥兵器になんか乗りたくないよ!








 目の前でぶっ壊れはじめている女性。
 ショッキングすぎたかな?
 この人の名前は…えっとミサトさんだ。
 葛城ミサトさん。
 手紙と一緒に入っていた写真の人だ。
 あの写真はすごかったね。
 ラフな格好の上に胸元を見せていたし。
 写真に字でココに注目って胸の所に矢印があったよ。
 もしかして誘ってるの?
 ……それはないよね。
 じゃあ…ま、まさか!
 この人が父さんの愛人!
 そうか、だからわざと遅れてきたんだ。
 戦闘機に潰されるのを予想してわざと遅れたんだ。
 なんて人だ!
 美人だからって…美人だからって…まぁ、いいか。
 でも、遅れてきたからいじわるしないとね。
「どうして〜助けてくれなかったんですか〜」

 ズルズル

「ひっ!」
 肉塊が蠢く。
 その様子は気持ち悪いことこのうえない。
 ミサトさんなんか完全に青ざめてるよ。
 おもしろいからもっとやろう。
「痛いよ〜血が止まらないよ〜」
「嫌〜〜〜私が悪かったわ、だから許してよ〜」
 頭を抱えて後ずさる。
 そんなに怖かったのかな?
 そろそろやめてやげようかな。
「分かりました、許してあげます。」
 重戦闘機の隙間から抜け出す。
 ミサトさんは驚いて目を大きく開いて僕のほうを見ている。
 もしかして本当に死んだとでも思ってた?
 そうだったら話せるわけないのに。
 構造上無理でしょ。
「な、何で生きてるの?」
「ふっふっふ、説明しましょう!」
 白衣があったならバサッとひるがえしたいな。
 かっこよくきめれられるのに……
 ないものねだりだからだめか。
 ミサトさんがこっちをずっと見てるな。
 もうちょっと浸っていたかったけど。
「あの肉片はダミーです。いざというときに作っていたんです。その名も…」
「その名も…?」
 やっぱり溜めが必要だね。
 さあ聞いて驚くんだ。




『身〜代わり君〜』




 読み方はドラえもんのようにするんだよ。
 ん…なんでドラえもんを知っているかって?
 それは秘密さ。
「身代わり君?」
 むう、よく分かってないみたいだね。
 それでこそ教えがいがあるってものだよ。
「なんだか分からないけど昔から誘拐とかよくされそうになってね、その身代わりのためにこれを作ったんですよ」
 ちょっとヤバげな実験していただけなのにね。
「ボタンひとつで実物と同じ大きさになり、構成されるものもクローンだからばれることはないという画期的なものです」
「クローンは禁止されているのよ!」
 青ざめた顔で迫ってくる。
 あはは、そんなことをおそれていちゃ先へは進めないよ。
 自分にしか使ってないし。
 それより早くココを離れなくていいのかね。
 ほんとにミンチになっちゃうよ?
「そんなことより早く連れて行ってくださいよ。早くしないとリツコさんって言う人に改造されるんじゃないですか?」
 また、顔を青くしているよ。
 リツコさんって言う人がそんなに怖いのかな。
 一度会ってみたいね。
「…そうね、早く乗って」
 僕の腕をつかむと車内に引っ張り込む。
 そんなに強く引っ張らなくても…強引なところもまたいいけど。

 ブォン

 エンジンを噴かして一気にトップスピードになる。
 メーターが120いってる……絶対改造してるね。
「しっかりつかまってるよ!」
 アクセルをさらに強く踏む。
 おお、速い速い。
 周りの景色が流れるように見える。
 快適快適……あれ、戦闘機がラグビー君から離れていく。
「ちょっと…まさか、N2地雷を使うわけ!?」
 N2をこんなところで使うの?
 巻き込まれるじゃないか。
 あ、投下した。

 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ

             カァッ




ドオオオオオ……




 爆風と衝撃波が辺りを覆い尽くす。
 余波が僕のところまでまで届き、車が横転する。
 どさくさにまぎれて抱きついちゃったよ。
 得したな〜。
「よいしょっと」
 横転した車から抜け出す。
 ミサトさんの安全を確認すると、爆心地へと目を向けた。
 あ〜あ、地形が変わってるよ。
 ラグビー君大丈夫かな?
 それより今は他人の心配より自分の心配をしないとね。
 この車を元に戻さないと。
 うりゃ
 結構重いなぁ。
 最近運動不足だったから腰が痛いよ。
「どうもありがと」
「いえ、こうしないと先へ進めませんから。…バッテリー大丈夫かな」
 調べてみる。
 ……だめだね、いかれちゃってるよ。
「あちゃ〜マジ?」
「マジです。こうなったら他の車から持っていきましょう」
「……仕方ないわね、非常時だもの」
「そうです、非常時ですから」
 二人で手分けして片っ端からバッテリーを持っていく。
 バッテリーを取ろうとしているときのミサトさんのおしりの動きがたまらないなぁ。
 あんまりずっと見ているとばれちゃうから気をつけないと。
 5、6個持っていけばいいか。
 バッテリーを積んで改めて出発と。
 そういえば、行き先を聞いてなかった。
「ミサトさん、これからどこに行くんですか?」
「ここよん」
 座席の脇からパンフレットみたいなのを渡された。
 特務機関NERV?
 ネーブ? ドイツ語読みでネルフかな?
 あ、ネルフか。
 各国から金をむしりとっている悪の組織。
 ここで父さんが働いてるらしい。
 皮肉ってみるか。
「国連直属の非公開組織で、超法規国際武装集団。人類を守る、大事な仕事らしいですね。ずいぶんとお金が必要みたいですけど」
「なにそれ…皮肉…?」
「そうです」
 眉間にしわを寄せて顔をしかめてるよ。
 ほんとのこと言っただけなのに。
「父さんってどういう役職についているんですか」
「知らないの?」
「ええ、10年もあってませんから」
「そう…あなたのお父さんはNERVの総司令をやっているの」
 これには驚いたね、まさか総司令とは。
 そんなに偉かったんだ。
 なら、愛人を作るわけだ。
「ミサトさん…僕はあなたをお義母さんと呼ばなければならないんですね」
「んな!」
 ハンドル捌きが狂い、ガードレールにぶつけそうになる。
 引きつった顔でこちらを見ている。
「なんで私がシンジ君の母親にならないといけないのよ!」
「違うんですか? てっきり父さんの愛人だと思ってました」
「そんなわけないでしょ! 何が悲しくてあの鬚親父と……」
 鬚親父なんだ僕の父さんは。
 嫌だなぁ…そんな風に言われているのが自分の父親だなんて。
「そうなんですか。それはすいません、早とちりして」
「分かったならいいけどさぁ…シンジ君ずいぶんと落ち着いているわね」
「そうですか? あのくらいのことで動揺しませんよ」
 誘拐とかされそうになったりしてるからね。
 慣れってすごいな。
 それからは無言が続いた。
 もうすぐ目的地に着くみたいだ。
 カートレインが見えてくる。
 そのカートレインに乗ると地下へと沈み、自動的に移送される。
 ミサトさんは隣で化粧直しをしていた。
 余裕があるね、この人も。
「父は何のために僕を呼んでみたんですか」
 無言だとつまらないので話し掛けた。
 化粧していた手を止めないでミサトさんは話す。
「それはお父さんに直接会って聞いたほうがいいわね」
 知らないってこと?
 別にたいしたことじゃないからいいけど。
 リニアモーターの振動で車が移送され続ける。
 景色は壁ばっかりでつまらない。
 暇を持て余していると、僅かながら光が差し込んできた。
 車が光がある方向へと進み抜けると、眼下に風景が広がった。
「ジオフロント……」
「そう、これが私たちの秘密基地ネルフ本部よ。世界再建の要、人類の砦となるところよ」
 誇り高そうに言ってくる。
 地下にある秘密基地ってまさしく悪の組織って感じだね。
 口に出したら怒りそうだからやめておこう。






 車から降りた僕たちは本部内を歩いた。
 いかにも最先端って感じだね。
 随所にいい設備が使われている。
 にしてもまだ着かないの?ずいぶん歩いたよ。
「迷ったんですか?」
「えっ? ち、違うわよ」
 話し掛けたときに体が反応してたよ。
 嘘が下手だね。
「詳しい人を呼んだらどうですか?」
「迷ってないってば〜」
 はぁ……

 ウィィィィン
         チン

 エレベーターの前を通り過ぎたと思ったら後ろからドアの開く音がした。
 中から一人の女性が姿をあらわす。
「どこへ行くの? 葛城一尉」
「あ、リツコ…」
「あんまり遅いから迎えに着たわ。人手も時間もないんだから…グズグズしてるヒマないのよ」
「ごめ〜ん」
 金髪なのに眉は黒。
 頭が良さそうだな……白衣も着てるし。
 スタイルも顔立ちもいい、合格っと。
「その子が例のサードチルドレンね」
「???」
「あたしは技術一課E計画担当博士―――赤木リツコ。よろしくね」
「はぁ、よろしく」
 突然サードチルドレンって言われても分からないよ。
 博士か…やっぱり頭良いんだ。
 インテリなお人みたい。
「いらっしゃい、シンジ君。お父さんに会わせる前に見せたいものがあるの……」
「見せたいもの…? ですか」
 意味深な言葉を言いながら、エレベーターのパネルを操作する。
 それにあわせてドアが開きリツコさんが乗り込む。
 続いて僕たちが乗り込むと、エレベーターは下へと進んだ。
 エレベーターが止まり、通路を歩いていると一面が水の場所へとたどり着く。
 辺りは暗く視界が悪い。
 近くにあった小型のホバーへと乗り込む。
 と、同時に警報が鳴り響く。
『総員第一種先頭配置。繰り返す、総員第一種先頭配置』
 ビービーとうるさいね。
 ラグビー君が攻めてきたのかな?
 静かな音を響かせながらホバーが動き出す。
 ライトをつけ、水を裂くように進む。
「それで、NN地雷は使徒に効かなかったの?」
「ええ、表層部にダメージを与えただけ…やはりATフィールドを持っているわ。おまけに学習能力までね」
「それって…」
「そう、エヴァといっしょ」
 分からない会話をしないでよ。
 つまらないじゃないか。
 進んでいる途中にうっすらと手が見えた。
 なんだろ、あれ?
 そのまま突き進むと今度は腕が。
 ロボットだったらいいな〜
 目的地に着いたらしく、ホバーから下ろされる。
「ついたわ。暗いから気をつけて」
 開けたドアからしか光が差し込んでこない。
 それなのにリツコさんは先へと進みレバーへと手をかけ下に下ろす。
 軽い音とともにあたり一面が光で満たされる。
 そこには…
「顔…ロボット?」
「厳密に言うとロボットじゃないわ。人の作り出した究極の汎用決戦兵器! 人造人間エヴァンゲリオン」
 おおロボットだ。
 いい展開だなぁ、でも、顔が凶悪だね。
 正義って感じじゃないよ。
「我々人類最後の切り札。これはその初号機よ。」
 これまた誇り高そうに言うけど、名前がダサいよ。
「これが、父の仕事ですかぁ〜〜」
「そうだ」
 投げやりに言ったら反応があったよ。
 声のしたほうを見上げると、そこにはサングラスをかけた男が立っていた。
「久しぶりだな、シンジ」
 見下ろすようにして話し掛ける男。
 サングラスのせいで瞳から感情を読み取ることはできない。
おっさん、誰?
 静まり返る。
「おっさんさぁ〜人と話すときは目を見て話せって習わなかった? サングラスはしてるし上から見下ろしているし、何様のつもり?」
 ああ〜すっきりした。
 ああいう奴って嫌いなんだよね。
「な、何言ってるのよシンジ君。父親に向かって……」
「……父親?」
 少しっていうかかなり引きつった顔でリツコさんがこちらを見る。
 マジで言ってるの?
 あれが僕の父さん……母親似でよかった〜
 あの鬚、随分と動揺しているみたい。
「シ、シンジ。私が言うことをよく聞け」
「ヤダ」
「…………」
 即行で断ったら黙っちゃったよ。
「…こ、これにはお前が乗るのだ。そしてV使徒Vと戦うのだ」
 聞いちゃいないよ、この鬚。
「待ってください司令! レイでさえエヴァとシンクロするのに7ヶ月かかったんですよ。今日きたばかりのこの子にはとても無理です」
「座っていればいい、それ以上は望まん」
「でも……」
 ミサトさん、あなたは僕のことを心配してくれるんですね。
 感動しました。
 愛人なんて疑ってごめんなさい。
 碇シンジの好感度ゲージに+10です。
「葛城一尉! 今は使徒迎撃が最優先よ。そのためには誰であれエヴァとわずかでもシンクロ可能な人間を乗せるしかないないのよ」
 この金髪黒眉なんていうこと言うんだ。
 さてはおまえがあの鬚の愛人だな。
 好感度ゲージ-10!
 抵抗してやる。
「僕に乗れだって…?この場合乗ってくださいだろ。それに使徒だっけ? 僕にラグビー君を倒せだなんてひどいじゃないか」
「ラ、ラグビーくん?」
 金髪黒眉分からないみたいだね。
 可笑しな表情しているよ。
 フォローが必要みたいだね。
「あのショルダーガードあたりがラグビーっぽい。ビーム兵器みたいなのを出してましたけど、得意技はきっとショルダータックルです!」
「な、何を言っているの?」
 なんだいその目は?
 おかしなものを見るような目をしないでよ。
 まだ抵抗しないと……
「それにさっきの会話を聞いていたらあれに乗るのには適正が必要みたいじゃないか。そんなものが必要な欠陥兵器に乗れるわけないだろ」
「欠陥兵器ですって…!」
「説明を受けろ、おまえがいちばん適任だ。いや、ほかの人間には無理なのだ」
 金髪黒眉は怒り、鬚は答えになっていない返答をよこす。
 こうなったら意地でも乗らない。
「おまえの肩に人類存亡がかかているのだ!」
「知らない。子供に頼るような人類なら滅びれば〜」
 鼻で笑って断る。
 まだ死にたくないんだよ? 僕だって。
「…そうか分かった。お前など必要ない帰れ」
 勝手だね。
 自分で呼んだくせに。
 こういうことはもっと前から言うべきじゃない?
 いきなり乗れって言われて乗るのは馬鹿だけだよ。
「冬月、レイを起こせ!」
 手元のパネルを操作してモニターを起動させる。
「使えるのかね?」
「死んでるわけではない、こっちへよこせっ」
 モニターに向けて話し出す。
 声から判断すると年寄りだね。
「もういちど初号機のシステムをレイに書き換えて再起動よ!」
 鬚の会話を聞いた金髪黒眉が司令をだす。
 レイって誰かな。
 ガラガラガラガラガラ
 車輪の回る音が奥から聞こえる。
 奥から医療用のベットと共に少女が乗って現れる。
 ボディスーツのようなものを身につけ、剥き出しの素肌の部分には包帯が巻かれていた。
「レイ、予備が使えなくなった。もう一度だ。」
「…はい。くっ……うう……」
 傷ついた体を無理やり起こし、立ち上がろうとする。
 苦痛に顔は歪み傷口からは血がにじみ出る。
 なんというか……色っぽいね。
 服装と表情がミスマッチ。
 いったそう〜




ズズズズズ……ドオオオオン




 突然大きな揺れがはじまり、天井の備品が落ちてくる。
 備品のひとつがあの少女のベットにぶつかり、バランスを崩す。
「あ…」
 衝撃でベットから落ちていく。
「あぶない!」
 いそいで彼女のもとへ駆け出すと両手で体を支えてあげる。
 口からは苦痛の声が漏れていた。
 こんなかわいい子に怪我させるなんて…
「シンジ君…私たちはあなたを必要としてるわ。でもエヴァに乗らなければだめなのよ…」
 ミサトさんがまじめな顔して何か言っている。
 聞いてはいなけどね。
 目の前の子の彼女のほうが心配だよ。
 若い方がいいに決まってるじゃないか。
 父さん…父さんは変な人だとはさっき見たときから思ってたけど……
 まさか…まさか…!!
 ロリコンだったなんて!
 息子として恥ずかしいよ。
「君の名前は……?」
 とりあえず名前くらいは聞いておく。
 当然だよね、可愛い子だし。
「あなた、誰…」
「僕? 僕は碇シンジ。君を守るために来たのさ…」
「…私を……?」
「うん、で名前は?」
「レイ…綾波…レイ」
 綾波レイっと、メモメモ。
「君は休んでいて、あとは僕がやるから」
「でも…」
「大丈夫だよ、そのために呼ばれたんだから」
 ベットに体をそっと置き、休ませる。
 あの鬚、あとでぶん殴ってやる。
 父さんなんて呼んでやらないよ。
「おい鬚、乗ってあげるよ。この子に無理をさせるわけにはいかないからね……」
「よく言ったわシンジ君。さ、こっちよ。説明してあげるわ」
 金髪黒眉が近づく。
 あなたに話してるんじゃないけどね…
 人類なんてもののために頑張れるかって。
 もっと身近なもののために頑張るものだよ人間は。
 レイちゃんとあとで仲良くなるためには生き残らないとね。
 俄然やる気が沸いてきたよ。
 さっさと説明聞こう。






 エントリープラグ…それに僕は乗っている。
 これをエヴァに挿入して操作するんだって。
 パイル○ーオンとかみたいにやりたかったなぁ。
 頭にはインターフェース。
 ヘルメットのほうがいいなぁ〜
『冷却終了!! ケイジ内すべてドッキング位置』
『パイロット……エントリープラグ内コクピット位置に着きました!』
『了解!』
 騒がしいね。
 いちいち確認しないといけないなんてめんどくさい。
『エントリープラグ注水!』
 ありゃ、足元から水が出てきたよ。
「水漏れ…? やっぱり欠陥兵器じゃないか」
 金髪黒眉の顔が引きつってる。
「心配しないで、肺がLCLで満たされれば直接酸素を取り込んでくれます」
 それでも説明している。
 ちゃんとTPOが分かってるね。
 大丈夫だよ、心配なんかしてないし。
 ここでパイロットを殺すような兵器だったら全員道連れにしてるよ。
「うえっ、マズ……」
「我慢しなさい! すぐ慣れるわ」
 LCLってやつを飲み込む。
 ミサトさん、こんなのに慣れたくないよ。
 たしかに、苦しくないや。
 これは調べてみる価値があるね。
『主電源接続、全回路動力伝達、起動スタート!」
 不可思議な感覚がする。
 頭の中に何かが入ってくるようだ。
 構成されてる…つながってるのかな?
『A神経接続異常なし、初期コンタクトすべて問題なし、双方向回線開きます』
『シンクロ率15%』
「思ったより低いわね…起動数値ギリギリよ。」
 金髪黒眉はなんか不満そうだけど、初めてなんだから仕方ないだろ。
 そもそも今日呼び出したあんたらが悪いんだよ。
「エヴァンゲリオン初号機! 発進準備!!」
 ミサトさんって作戦部長なんだって。
 すごいね、あの年齢で任されるなんて。
 ただの美人じゃなかったってわけだ。
 ミサトさんの号令と共に各所で作業が始まる。
 ロックボルトを解除したり、拘束具をとったり。
 すべての準備が整うと射出口へと移動される。
「碇司令! かまいませんね?」
「もちろんだ。使徒を倒さぬ限り我々に未来はない」
 最後の確認を取るとミサトはうなずき、一呼吸おいて命令する。
「発進!!」
 命令によって、射出される。
 体に強烈なGがかかり、体がきしむ。
 数秒の間移動したかと思うと、地上へと固定された。
 目の間にはラグビー君。
 早く、安全装置外してくれない?
 今襲われたらボコボコだよ。
「最終安全装置解除!!」
「エヴァンゲリオン初号機リフト・オフ!」
 体が自由になる。
 やっとだね。
「シンジ君! 頑張って使徒を倒すのよ!」
「はい」
 応援ですか。
 がんばりますよ、レイちゃんのために。
 でも、ラグビー君は倒しません。
 きっと心で接しれば分かってくれるはず。
 人類みな兄弟ですし。
 あ…ラグビー君は人類じゃないや。
 なんとかなるさ!
 そんなものでしょ、人生は。






(続く?)



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