「GURPS女神転生」テストプレイ1話(タイトルなし)

 
DM:(シナリオ書きながら)みなさん、始められますか? ……では始めましょう。
焔:よろしくお願いします。
聖羅:よろしくおねがいします!
 
 
 企画モノ「GURPS女神転生」のテストプレイも、メンバーを変えつつ今回で3回目となります。
 例によって初めてのメンバーだったので、まずはキャラクターが動くのを見てからシナリオの傾向を考えていこう……という思惑もあり、シナリオや背景設定は最小限しか決めていません。
 怠慢? いえいえ、初回はこのぐらいのほうがキャラクターやシナリオはよく動きます。難しいシナリオをやるのは、キャラクターが固まったころを見計らってからでも遅くはありません。こういう方法がとれるのも、プレイヤーの皆さんのノリに支えられてこそ、なんですけどね(開き直った)。
 さて、さっそく本編へ。まずは高校生にしてデビルバスターを生業とする、「天使喰い」水鏡 焔から始めることにします。
 

 
バー「ハンターズ」 深夜
 
 
DM:さて焔君。普段、機関との接触はどのように行なっているんでしょうかね?
焔:地元の小さなバー「ハンターズ」が直轄の接触場所だ。
DM:他のお客も来るのかな?
焔:それはないだろう。奥まった所にあるし、入るのに独特の符丁が必要だからな……基本的に来客はバスターかサマナーだ。
DM:では、君にバーのマスターが……
DM/マスター:「おい焔、おまえに打って付けの仕事が入ってるんだが……聞く気はあるか?」
焔:「(短く)内容は?」
DM/マスター:「『ローマ』の連中の話なんだがな。近々、"本庁"から日本分会へ、あるモノが届けられるとの情報が入った」
 
 「ローマ」というのは、焔が属する(本人には、あまりそのつもりはないようですが)北欧系の相互扶助組織、「ニーベルング」と敵対する世界的教団(の、先鋭的な一部の人々)のことです。
 同様に、ニーベルングは「機関」、後に登場するウィッカ使いたちのコミュニティは「魔女」の略称で呼ばれています。
 名前を決めてないだけなんてそんな。
 
焔:「連中もお忙しい事だ。破壊か? 奪取か?」
DM/マスター:「それはどちらでもいいらしい。確認して、危険ならその場で破壊することもやむを得ない、というところだな」
焔:「……良いだろう、近頃は天使どもも動きが鈍って暇な所だ。期日と報酬は?」
DM/マスター:「受け渡しは3日後に行なわれるらしい。具体的な場所はまだ不明だ。報酬は……すべて込みで20万。どうだ?」
焔:「良いだろう、その依頼受けよう……で、当たりは付いてるのか? 移動経路とか」
DM/マスター:「詳しい情報は追ってメールで送ろう。基本的には、受け渡しの直前を押さえる方向で行ってもらいたい」
焔:「了解した。(目の前のイングランド・ティー呷って)……詳細情報を待っておく」
DM/マスター:「要は、連中を出し抜ければそれが一番ということだ。こちらとしても、無用な争いは避けたいところだからな。それもあって、『機関』とまだ繋がりの薄いお前を指名するわけだが……」
焔:「承知の上だ」と剣持って店を出ましょう。
聖羅:聖羅とは生きてる世界が違うなー(汗)。
 
 学園伝奇……のはずだったんだけど……。
 さて、場面は変わって、とある洋風の古びた一軒家。もうひとりのキャラクター、「魔女」高梨 聖羅の登場です。
 

 
高梨家 夜
 
 
DM:うーん、聖羅も結構普段の生活が読めない人だ。
聖羅:少なくとも、普段は普通に女子高生してますよ〜。家に帰ったら、習い事の変わりにちょっとお母さんから魔法の手ほどき受けてたりしますが。
DM:(ちょっと考えて)ではですね。君は魔法少女っぽく、ある夜に自室でピクシーと話しています。
聖羅:はいはい。「ねぇ、キミたちの方は何か変ったこととかあったー?」
DM/ピクシー:「うん……ねえセーラ、感じる? 西から大きな力が近づいてくるのが」
聖羅:「西の方?」ちょっと首を傾げてみたり。そんな兆候はありました?
DM:ちょっとチェックしてみましょう。知力判定……「鋭敏感覚」で+1していいや。
聖羅:目標値は14で(ころころ…10)成功ですね。
DM:そうですね、数日前から妖精たちがざわついている気がします。何か良くないことの前触れか、もう起こったのかも……。
聖羅:「いやーな感じは確かにしてたね。一体、何がこっちに向かってるんだろう……」
DM/ピクシー:「やっぱりね。それと、もうひとつ……これは、あたしたちの仲間の意識……? ううん、よく分かんない……」
聖羅:「なにかあったんだ? 教えてみてよ」ピクシーと同じ目の高さにあわせます。
DM/ピクシー:「あたしにもよく分かんない。ただ、妖精界でよくないことがあったみたい……また何かあったら、セーラに教えてあげるよ」
DM:それだけ言って、ピクシーは夜空にふいっと消えてしまうのです。
聖羅:「うん、きっと教えてね。私に出来る事なら協力するよ……」小さく手を振って見送ります。
 

 
矢束高校 2−A教室 朝
 
 
DM:そして翌朝。学校です。
焔:俺も一応行ってるんだよな。
DM:どれだけ真面目に通ってるかは分からないけどね。何かやりたい演出のある人はいるかな?
聖羅:制服着て、朝ごはん食べて。始業時刻10分前到着です。
焔:「……(←教室の扉開けて入ってきた)」
DM:焔の前では、何となく生徒たちが道を空けます。
焔:ちょっと血の跡がある制服で(笑)何でもないように教室に入って席に座りましょう。
DM:席は窓際の一番後ろ。
聖羅:そんな空気も気にせず聖羅は「おはよう」とあいさつしてあげましょう。
焔:「………」一瞬だけ生身の目で見て……そのままです(コラ)。
聖羅:ちょっと寂しげな目をして、一限の授業の準備を始めましょう……。
 
 こまめな演出がキャラを作ります。とはいってもPC二人のみの今の状況では、さしたるイベントが起きるはずもなく……。
 
DM:焔君に追加の情報です。荷が到着するのは今日の日中から夕方にかけてらしい。場所の特定はまだ出来ていないけれども、この街のなかであることは確かなようです。
焔:「また微妙な時間帯に……」いえ、もともと学校は午前中でふけるつもりでしたけど。
聖羅:あ、それなら聖羅の「いやな予感」が増幅してたりしません?
DM:そうですね、何となく強くなってるような……でも、単なる思いこみかも?
聖羅:「うーん、気のせいだといいけどなぁ……」呟きながら教科書をぱらぱらやってます。
焔:一応ふけてからすぐバーのマスターに情報付いた事の報告と受け渡し場所の詳細情報が無いか聞いてみます。
DM:ええっと、では焔君から。ではまず、今のこの街の概略を説明しましょう。
 
 ……とした矢先に、ここで問題が。PCたちが通う高校は「私立矢束(大学付属)高校」、と決めていたのですが。
 
DM:街の名前ってなんだっけ?(呆)
焔:街の名前は決めてないですな、学校は決めましたが(笑)。
聖羅:忘れてた、名前がまだだったよ(笑)。
DM:うーん。矢束町だか矢束市だかでいいかなあ。
焔:矢束市でイイかと。メガテンの舞台って大抵市レベルだし。
DM:ではそれで!
 
 ハウツー本にある良くない例のようなマスタリングをするDM(笑)。
 とはいえ、現代を舞台にした話はファンタジーやSFなどに比べ、背景の設定が軽いことがひとつの利点。施設や人物に迷ったら、アイデアは身近にいくらでも転がっているのですから(開き直った)。
 
DM:では若干の説明を。現在、この街のパワーバランスは微妙なところで保たれています。もちろん、闇の世界での話でね。
聖羅:うーん、聖羅の母親は知ってるんだろうけど聖羅本人は知らないな、きっと。
焔:ふむ……ニーベルングと「ローマ」と……他にもあるのか?
DM:あと、地元に古くからある矢束神社。
聖羅:神道系とキリスト教会系ですか。
DM:それにお寺もいくつか……名前は未定(笑)。
焔:ホントに混乱極まれりだな、それは……。
聖羅:三つ巴とは怖いなぁ。特に神道と仏教の境目はあいまい極まりないのに。
DM:んで後は、ニュートラルなカルトマジック系の術者たちがコミュニティを作ってたりするんですね。聖羅さん家もそのひとつです。
聖羅:ですね。多分、教会とは絡んでないでしょう、うちは。
焔:その辺はニーベルングも「ローマ」も無視決め込み?
DM:手を出してこない限りは。まぁ、取るに足らない存在と考えているわけです。
焔:んじゃ気にはしないな〜。
DM:聖羅さんは、イデオロギー的にはどうなんでしょうね。というか、何らかの組織なり集団なりに属しているという意識はあるのかな?
聖羅:どうなんでしょう、魔女の一族なんだくらいには思ってますけど、まだそんなに深くは踏み込んでないですね。
DM:魔女の結社とかがあるんだ、きっと。
聖羅:多分あるんでしょう。普段はお茶会やってるくらいでしょうが(笑)。
 
 毎月22日です(『ウィッチクエスト』って知ってる?)。 
 
聖羅:よく考えたら、キリスト教は敵とは行かなくてもあんまりいい気持ちはしないんだろうな。魔女迫害した張本人だし……。
焔:ちなみに教会側から何か動きはある? 町中に隠れてデビルバスターっぽいのがいるとか。
DM:そうそう、その話。んでまぁ、今までは互いに牽制し合ってたんだけど、ここらで一気にパワーバランスを崩そうという動きがあるわけですね。
焔:どっちも必死だな……俺は目的が達せられればそれで良いが。
DM:というわけで、そのために教会側が日本の矢束支部に持ち込もうとしているものが……何かはまだ分からないわけですが。
焔:全く……まぁ諜報部と作戦部が仲悪いってのは何処の組織でも同じだから、あえて何も言うまい。
 
 ご、ごめん。それはアドリブでやってるDMのせい。
 
DM:んで放課後です。聖羅さん、も一度さっきと同じ判定をやってみて。
聖羅:はい、いきます(ころころ、8)…成功してます。
DM:6成功か。では、ずっと感じていた嫌な雰囲気が、日暮れも近くなって非常に強くなります。
聖羅:「気のせいじゃなさそうね……どうなってるのかな、これは」ピクシーを呼んで聞いてみようかな。あんまり日没まで時間が無いけど。
 
 《ピクシーへのよびかけ》をはじめとした「ウィッカ」に含まれる召喚系呪術の持続時間は、基本的に「日が昇る、あるいは沈むまで」となっています。この呪術は維持できないので、日が沈んでしまったら、もう一度呼びなおさければならないわけですね。
 
DM/ピクシー:「はいはーい、呼んだー?(ハイテンション)」
聖羅:「ねぇ、今とっても嫌な雰囲気があるよね? これ、一体どうしてだかわかるかな」
DM/ピクシー:「うん、そうだねー……あっち!」言うなりピクシーは飛んでいきます。
聖羅:「わ、ちょっと待ってよ!」追いかける。
DM:ピクシーを追いかけていくと、そこは旧校舎の裏。
聖羅:旧校舎!? もちろん人の出入りは無いですよね……。
DM:うん。取り壊しが決まってて、工事用車輌なんかの出入りが始まってたりします。
焔:……まさかな〜……。
 
 時間の関係で、単純なうえに単純なお話なので……。
 実際、オンラインセッションというのはオフラインでのそれに比べ、約3倍の時間がかかると言われています。ひとつのシナリオをいくつかに分けて遊ぶなどするのでない限り、シナリオは単純すぎるぐらい、プレイヤーの誘導は露骨すぎるぐらいでちょうどいいと考えています。
 

 
矢束高校 旧校舎前 夕方
 
 
DM:さて聖羅さん、どうするんかしら?
聖羅:「うーん、なんか怪談話のありそうなとろだわ……この校舎に、何があるの?」
DM/ピクシー:「分からない……ただ、すっごく嫌な感じ……けど、仲間のニオイがするの」
聖羅:「仲間のニオイなのに嫌な感じがするんだ……不気味だね」とりあえず、人が入った跡がないか見てみようかな。技能なし値ですけど。
DM:では技能なし値で振ったんさい。
聖羅:…あ、出ましたね。2成功です。
DM:旧校舎はよく不良たちがたまり場にしてるんだけど、その跡はあるね。それ以外となると、ちょっと分からないかなぁ。
焔:跡だけで今は居ないはずだ、この間喧嘩売られてノしたからな。
 
 これは焔のアドリブ。DMもこれを受けて、彼のシーンを作るために不良たちを登場させることにします。
 ウチのセッションはいつもだいたいこんな感じ。
 
聖羅:「うーん、中に入らないと何があるかわかんないか……」ちょっと入り口まで迷ってます。
DM:んじゃ入り口でうろうろしてる聖羅さんに、後ろから「何してんだァ、こんなとこで?」と声が。見ると、にやついた笑いを顔に貼り付けた当校の生徒ですね。数は3人ほど。
聖羅:うわ、そういえばここ不良の溜まり場だった……と後から思い出して「いえ、ちょっとした用事があっただけですよ」
DM/不良ズ:「用事? 俺たちもあんたに用事があんだけどなァ(巻き舌風)」
聖羅:弱ったなぁ、魔法使っちゃおうか、それとも逃げようかと困ってます。「いえ、わたしは別件の用事もあるので!」といって逃げようとしてますけど……。
焔:「……そこまでにしておけ、お前等の顔で言い寄られると高梨が迷惑だ」
DM/不良ズ:「まぁとりあえず中入れや……なっ、水鏡!?」
焔:無言で剣を構えます。包みはまだ取りませんが。
聖羅:うわ、剣を持ち出すんですか!?
DM/不良ズ:「ちっ……行くぞ、お前ら(時間短縮のために)」
 
 ここで戦闘の練習をしようかとも思ったんですが、反応判定の結果不良たちは退散することに。ここは焔にカッコ良く登場してもらうためということで、多少の無茶な行動も大目に見ることにしています。
 
焔:「……で? 何故こんな所にいる」
聖羅:「いえ、この中から変な匂いがして、火事でもあったかなーっと思いまして。それにしても、その包みの中身……そちらこそ、こんなところに何の用ですか?」
焔:「……仕事だ。物見遊山なら離れていろ……」
DM:なんとなくタダモノではないというのは、お互い分かってもいいかな。二人とも、霊格を持つ武器を持ってるし。
焔:判りますが一応コレはいわせてくらはい(ぁ)
聖羅:「それでは、こっちも仕事ということにします。『火事』に限らず、異変を見つけたら正しい状況に戻すのがわたしの役目です」アセミィナイフを鞘に入れたまま取り出しましょう。これで身分はわかるはず。
DM:おおっ。
聖羅:こっちもちょっと言ってみたかった(笑)。
焔:「……」エクスキューショナーズ・ソードの柄に刻んであるヴァルキュリアの紋章を見せます。多分都市伝説っぽい噂が。
DM:焔も知ってていい。これはウィッカを使う人々……つまりウィッチやウォーカンと呼ばれる人たちが、身分証代わりに持つナイフですね。
焔:「ウィッチか……(ナイフを返して)非礼は詫びよう」
聖羅:「一人前にはちょっと足りてませんが。非礼なんてとんでもない、わたしは魔法を使える以外は普通の女の子ですから」
 
 この聖羅さんの「わたしは普通の女の子」発言、頂いたSSのなかにも登場します。
 要チェック。
 
DM/ピクシー:「ねえセーラ、あたし出てきてもいいの?(ヒラヒラ)」
聖羅:「あ、出てきていいよー。この人も『そういう』方面の人だから」
DM/ピクシー:「ふーん。あらー、けっこうイイ男じゃない(軽い)」
焔:「スプライトか」
聖羅:「ピクシーですっ。まぁ、わかんない人はわかんないかな……」
DM/ピクシー:「そう呼ぶ人もいるねー。まーどっちでもいいよ、セーラ」
焔:小妖精、スプライトはピクシーを初めとする者たちの総称だ。
聖羅:「……ごめん、わたしの方が知識不足だったみたい。やっぱりもっと勉強しないとダメか……」頭かいてます。
 
 スプライト。海外のファンタジー小説やRPGなどでは「小妖精」などと訳されていることが多いようですね。語源はspiritと同じで、いわゆる「精霊」「妖精」「幽霊」など、幅広い意味を持つ語です。
 その発生はピクシーやフェアリーといった語より新しいようです。そうした存在の注意を惹かないよう、直接彼らの名を呼ぶことを避けた遠回しな呼称として生まれたのではないでしょうか(すげえ適当に)。
 
焔:「天使でなければ無駄に殺す謂れもない」
聖羅:「……天使なら殺すんだ?」
焔:「それが俺の存在する理由だ」と言って旧校舎内に入っていきます。
聖羅:「あ、ちょっと!」とたとたとついて行きましょう。言いたいことはたくさんありますが。
DM/ピクシー:「ねえセーラ、あれイイ男だけど……ちょっと怖いよ、ね?」
聖羅:「うん……怖いね。嫌いまではいかないけど」
DM:では旧校舎内に入りました。
聖羅:時刻はまだ日没前ですか?
DM:まだ辛うじて。いまは4月上旬で、5時ぐらいと思ってくれれば。
聖羅:うーん、こりゃ途中でもう一回《よびかけ》が要るかも……。
 
 そうか、視覚関係の修正を入れるのを忘れてた。春先にこの時間となれば、そろそろ暗くなってきてもいい頃だったのに。
 

 
矢束高校 旧校舎内
 
 
焔:誰か来た形跡がないか<追跡>します。…6成功。
DM:んじゃ焔は、不良たちのものとは明らかに異なる足跡を発見します。
焔:「……ち」その足跡追えますか?
DM:それを辿ると、ひとつの木箱にたどり着きます。部屋の隅に、無造作に置かれている……としたところで、聴覚判定を。二人とも。
焔:…4成功か。
DM:んじゃ焔が気付く。旧校舎の入り口あたりで、人の気配がした。
焔:「無駄だ、出てこい」戦闘態勢整えて呼びかけますよ。
聖羅:チャントが使えないか……ピクシー呼び寄せて、戦えるか聞いてみよう。
DM/ピクシー:「えー、怖いなー」
 
 ピクシーは「臆病」です。通常、自らの身が危険にさらされるような状況には姿を表わしません。
 
DM/少女の声:凛とした声がする。「……ここで何をしているの?」
DM:声の主は、一人の少女だ。二人のクラスメートで風紀委員の鷹村 美沙(たかむら みさ)ですね。
焔:「鷹村か……」んじゃ警戒しつつも武器は下ろします、まだ手に持ってるけど。
DM/鷹村:「高梨さんまで。こんなところで、二人で……ここが立ち入り禁止だって知らないの?」
聖羅:「うん、知ってた……でも、鷹村さんも知っててなんでこんなところに?」
DM/鷹村:「私? 私は……見回りよ。良くない生徒たちが、このへんをたまり場にしてるって聞いたから」
聖羅:「でも、先生が鷹村さん一人に任せるかしら? そんな危険な事……」
DM:というところで、二人とも視覚判定してごらん。
 
 怪しすぎるNPC(笑)の登場に警戒する焔の目が、あるものを捉えます。
 
DM:そう言う鷹村さんの胸にはロザリオが輝いているんですが……。
焔:「鷹村、お前クリスチャンだったのか?」
DM/鷹村:「ええ、そうよ。いいから、早くここから出なさい」……が、焔は分かる。そのロザリオ……教会のなかでも対外的かつ戦闘的な仕事を担う部署の、それもある程度の地位を持つ者が着けるものですね。
焔:「そう言うな、『ローマ』の狗……目的はおおかた、本部から運ばれたそこの箱だろう」
 
 唐突です、この人も(笑)。時間が押していたので、正直ありがたいところだったんですが。
 
聖羅:驚いて鷹村さんのほうを見ます。普通にクラスメートだったんですよね?
DM:うん、普通にクラスメイトですよ。
聖羅:しかも、こっちはどっちが悪役かわからないんですよね……下手したら焔さんの方が悪いのかも分からない。
焔:「(構わずに)微妙なバランスの上に成り立っている平和を崩して……『ローマ』は何を考えている?」
DM:鷹村さんはやれやれ、と首を振ります。
DM/鷹村:「そこまで調べてるのね。この街の現状が平和だと、あなたは思うの?」
焔:「少なくとも、何も知らないもの達への被害は最小に押さえられている。ベストではないがモアベター……今出来る最良の事ができる状況だ」
DM/鷹村:「それが、私たちのやり方に従えばもっといい方向へ進むのよ? あなたたちがそれを邪魔してるんじゃない」
焔:「お前達のやり方は一人を犠牲の槍玉に挙げ、それを隠れ蓑にするだけだろう、ある時は勇者と、別の時は魔女と名付けてな」
DM/鷹村:「(わずかな沈黙)……まぁ、いいわ。ここで議論を始める気もないし。高梨さん、早くこの場を立ち去りなさい」
聖羅:箱の中身が分からないと、どっちに味方すべきか困るな。「……ちょっと待って、鷹村さん。わたしはきっと、その均衡状態が崩れたら巻き込まれる立場になる。いったい、あなたたちは何をしようといているのか、教えてくれない?」
焔:「(聖羅に)高梨、お前はここから確実に生きて出られる権利がある。これはニーベルングと『ローマ』の抗争だからな、行ったところで誰も咎めない」
聖羅:「いいえ、わたしはわたしが正しいと思うほうに味方し、場合によっては二人を止める義務がある……だって、わたしは魔女ですから」アセミイナイフを取り出します!
焔:「……頑固な娘だ、彼氏になるヤツは苦労するな」
聖羅:「それはどうも。そもそもわたしたちはクラスメートですから、刃を向け合う事態は避けたいですけどね」
DM/鷹村:「バカなことを。あなたたちみたいな人がいるから、いつまでも世界中で争いが終わらないのよ……」
聖羅:「だったら教えてよ。あなたたちがやりたいことを言葉に出してくれないと、私たちは無用な抵抗をしなくてはいけないかもしれない」
DM/鷹村:「高梨さん。私たちは、争いの続くこの世界をなんとかしたいの。そのために、まずは力がいるのよ」
聖羅:「力……ね。わたしは力を用意したり、求めたせいで死んだり、殺された人間を何千人と知っているけれど……どんな力だというの?」
DM/鷹村:「そこまで話すことはできない。私もあなたと争いたくなんてない……高梨さん、あなたを教会の敵に回させたくはないの」
 
 このあたりのやり取りに、聖羅さんと鷹村美沙、ひいては「魔女」と「ローマ」の考え方の違いがよくあらわれています。 この違いが、やがて彼女らをさらに大きな事件へと巻き込むことになるのですが……以下続刊(おい)。
 
DM:(焔に)で、抜いてしまうのかな?
焔:ん〜……(ちょっと考え)こっそり後退りながら箱に近づいてたって事で、箱の蓋斬り飛ばしていいですか?
DM:目の前で話してた相手がこっそり、というのはなかなか難しいと思うけど……ちょっと待ってね。
焔:会話の切れ目でいきなりバックステップして、箱まで下がろう。
DM:……としたところで、ピクシーが聖羅さんに叫ぶ。
DM/ピクシー:「セーラ、あの箱の中! 嫌な感じのするものもあるけど……一緒にあたしたちの仲間が閉じこめられてる!」
聖羅:「え!?」反射的に箱の方にむいてしまいますね、それは。
DM:というわけで、どうぞ行動しておくれ。
 
 エクスキューショナーズ・ソード(中近世ドイツにおいて、罪人の首を斬るために用いられた両手剣)を構えた焔は、旧校舎の隅に置かれた木箱の蓋を斬り崩します。教会が切り札として日本に送り込んだもの、それは……。
 
聖羅:さて、何が飛び出てくるか……
DM:では蓋が吹っ飛んだ。中から……。
DM/声:「ヒホ? やー参った参った!」
DM:と声と共に飛び出てきたのは……聖羅さんは知ってるかな。ブラウニーだね。
 
 メガテンのオールドユーザーであるDMとしては、ブラウニーはやっぱりヒーホー君なのでした。
 最近では「会話パターン:老人」のようですね。
 
聖羅:「……はい?」ちょっと不釣合いな登場の仕方にきょとんとしますね、それは。
DM:んで箱の中にはもうひとつ。布に包まれた長大な剣が収まっています。
焔:「……成る程、これがお前達のジョーカーか」
DM/ブラウニー:「んん? 海越えてきてみりゃ、どうなってんだ?」
聖羅:「ねぇ……この子でどうする気だったの、あなたは……」ちょっと呆れが入ってます。剣も気になりますが、そちらはよくわからないので。
DM/鷹村:「そんなのは知らないわ! 水鏡、それから離れなさい!」
焔:「そうは行かんな、言いそびれてたが俺がここに居る理由は掃除だ……こういうゴミのな」
聖羅:あ、さすがに剣が主目的か。それじゃあブラウニー君に事情聴取。「ねぇ、どうしてこんな剣といっしょに閉じ込められてたの?」
DM/ブラウニー:「まぁまぁまぁ。ちょっと俺っちに喋らせてくれよ、OK?」
聖羅:「うん、OK。一体何があったか教えてくれる?」ノリをあわせよう。
焔:「好きにしろ」
DM:時間もないのでまとめます(ストレート)。あの剣はですね、遙か昔に人間から妖精に預けられたものだったとか。それをまた人間に奪われたというんで、妖精の女王がその行方を捜させていたんですね。
焔:「妖精が愛する騎士に剣を譲った、という話は聞いた事があるが……」
DM:んでこのブラウニー、剣のありかを突き止めたまではよかったが、姿を隠していたところそのまま一緒に箱詰めされて日本まで……というわけです。
 
 そんなに長い間箱詰めにされていて、マグネタイトはどうしたか?
 妖精や地霊、特にレベルの低い者たちはこの世界との結びつきが非常に強く、ある程度以上自由意志でもって実体化しつづけることができます(これは本当)。
 また『真・女神転生V』では、生き物の恐怖や苦痛がマガツヒを生み出すとされていました。これをマグネタイトと似たものと考えると、ある種の妖精や妖怪たちが人間を驚かせたり怖がらせたりすることを好むのも、それによってマガツヒ=マグネタイトを得るためであるのかもしれません。
 ブラウニーは空輸される途中、怪奇現象を起こしては乗員を怖がらせ、マグネタイトを得ていた、というわけなんですかね?(訊くな)
 
聖羅:具体的にどんな話だったか、<民俗学>で判定していい? …よし、5成功です。
DM:み、みんな目がいいな。……えーと、時はノルマンコンクェストの時代です。
焔:その時代に妖精に譲られたような剣なら、バランスを崩す武器にはなるな。
DM:ある聖人が、王の怒りに触れて首を切られてしまったんですね。んで、そのときに用いられた剣がこれじゃないか……と思いました。
聖羅:ほうほう、妖精の伝承が本格的に文字になってきた時代だったような。こりゃとんでもない力があるでしょう……。
焔:呪われたエクスキューソナーズソードか。
 
 具体的な話なんて考えてないよ!
 ……いやしかし、案外なんとかなるもんだ(わー)。
 
聖羅:そんな剣なら嫌な感じもしますね、血を吸った剣ですし。これは恐ろしいもの……。
DM/ブラウニー:「ってなもんよ。分かりる? 」
聖羅:「うん、わかる。すんごく危ない物だって事がわかった。ありがとうね」
焔:「ブラウニー、お前はこれを持ち帰りたいのか?」
DM/ブラウニー:「そりゃ女王様の命令だもんさ」
焔:「ふむ。依頼は奪取または破壊……要はここでバランスを崩す事に使われなければ、どこに行こうと俺に異存はない。つまり行方不明になればいいんだ」
 
 なんともアバウトな依頼です。
 これは「ニーベルング」が、それぞれのエージェントの判断能力を重視しているからこそなんですよ、うん。
 本当だよ?(蛇足)
 
聖羅:「……うん、これでわたしが味方するべき相手が決まったね。ごめん、鷹村さん。あなたの忠告、無視する事になりそうね……」
DM/鷹村:「そう……残念ね。でも、どちらにせよもう遅いみたい……みんな聞いちゃったものね」
聖羅:「……悲しいなぁ。あなたはあなたで考えを変える気は無いんでしょう?」
DM/鷹村:「(わずかに息を吸い込んで)……その質問には、同じ台詞が返せると思うわ」さて、こちらも準備しましょうか。場所は移動するかな?
聖羅:この部屋は、剣を振り回せる広さがありますか?
DM:それは大丈夫。
焔:エクスキューショナーズ・ソード振り回せるなら無理に外にたたき出す必要もないか。
DM:んじゃ外から教会の正装をした男がひとり入ってこよう。「鷹村さま、いつまで時間をかけるのです?」
焔:ち、全く持ってぞろぞろと。
DM:「鷹村さま、この者たちは……」「……"敵"です」みたいなやりとりがあって。
聖羅:ちなみにGM。ブラウニーくんは戦力にカウントしていいでしょうか?
DM/ブラウニー:「ん? なんか知らんが魔女の姉ちゃん、ここは協力してやるぜ!」
聖羅:「助かるわ、ありがとう。きっと女王様からもお褒めの言葉があるわ、剣を守った勇者として!」
DM/ブラウニー:「勇者? 勇者! OK、楽しく行くぜ!」
焔:「勇者な……好かない言葉だ。必要ない責任を被せられたものを乗せるための言葉だぞ、それは」
聖羅:「そんなこといわないの。名誉よ、名誉」
DM:というわけで、戦闘開始です。
 
 一同、まずはイニシアティブを決定します。通常のルールと違って(私のところではいつもそうなのですが)イニシアティブの算定は1D+移動力(+<戦術>によるボーナス)でおこないます。
 結果、ブラウニー→ピクシー→聖羅→男→焔→鷹村に動くことになります。
 
DM:だいたいの配置を決めましょう。焔は一番後ろということで、こちらは入り口付近に鷹村さんと男がいます。
焔:ま、箱の近くに行きましたからね。
聖羅:わたしが焔の前にいるとすんごく困るんですが(汗)。
DM:うーん、でもそうなる。かな。その代わり、ピクシーとブラウニーの配置は好きに決めてください。
聖羅:それじゃあブラウニーが私の前、ピクシーは後ろで。怖いと申告してくれたし。
DM:んじゃブラウニーのデータを。まず能力値は体力9(13)、敏捷力9、知力8、生命力12(16)、「よけ」は5ですが、小さい分移動力は少なくて4です。直接攻撃をするなら技能レベルは9、ダメージは1D−2。
聖羅:了解しました。うーん、1ターンだけ盾になってくれるだけでいいかな、それなら。
DM:あとは[ディ]と[スクカジャ]、それに《丘と草と風のチャント》と同じ効果をもつ「ハッピーステップ」を使えます。
聖羅:スクカジャはどんな魔法ですか?
DM:2点消費で技能レベルは10、効果は命中判定に+1です。持続時間は1分もしくは1回の戦闘。
聖羅:了解しました。
DM:ということで戦闘開始。悪魔の行動の決定についてはまだ考え中なんだけど……今回は好きに決めていいや。
焔:めいれいさせろ(笑)。
 
 それそれ(笑)。
 ちなみに、この件についてはまだ懸案中です。任意かランダムか、GMが決定するか……ペルソナやガーディアンの行動なら、プレイヤーの任意でいいんですけどね。ここではブラウニーの行動を聖羅さん、ピクシーを焔が担当することにしています。
 
焔:距離はどれくらいですか?
DM:ブラウニーと敵二人の距離を2D+5mで決めましょう。
焔:…12。離れたな〜……移動力5だから、焔は全力移動でも届かない。
DM:では12メートル。その後ろに聖羅、ピクシー、焔と続く。めんどくさいから1mずつ後ろにいることにしよう。
焔:ってことは焔まで15か。
DM:ですね。どうぞ、ブラウニーから行動してください。
焔:ん〜、どーしたもんかのぉ(デビルサマナー風味)
聖羅:十分な距離ですね、すぐには接敵しない。ブラウニーは焔が入るまで前衛。行動はスクカジャかな? 目標は焔で。
DM:ではブラウニーは1ターン集中と。
焔/ピクシー:「取り敢えず前でたら逝けちゃうし……ジオ〜」
DM:ではピクシーはジオに集中。
聖羅:後ろに退避です。接近戦に巻き込まれたらひとたまりもないので。
DM:男は……そうだな、「ふむ、ニーベルングか……面白い」剣を抜きましょう。抜くだけ。
焔:「ローマの狗も面白い事をほざく、天使喰い焔……行くぞ」と言うわけで全力移動10m。
DM:いやいや、全力で移動力まで。だから5mですね。1秒目で10mは世界記録を超えている(笑)
焔:今100mって9秒ちょいじゃ。
 
 ガープスでは、まっすぐ走ると次ターンから移動力+1です。
 
聖羅:一気に妖精たちを後衛にしてくれましたね、助かります。ブラウニーから2メートル先ですから十分。
DM:鷹村さんは、「神よ、守らせたまえ……」ロザリオを手に集中しだします。ぐるっと回ってブラウニー。スクカジャのレベル10で判定してください。
聖羅:…よし、成功。焔さんの攻撃判定に+1です。
DM:では焔の命中判定に+1だ。原理は訊くな。
焔:「サンクス」重ねがけは4回まで?(爆)
DM:うーん、重ねがけできてもいいかなあ……とか思ってるんですけど。
焔:4回重ねたら+4だから相当でかい。
DM:かけすぎるとまたゼロに戻る(それはスーファミ)
 
 考えなければならないことが山積してます。
 TRPGの『真・女神転生RPG』だと、カジャ(強化)系やンダ(低下)系は重ねがけできないかわり、術者の能力によって効果が上がったんですよね。コンシューマとどちらの雰囲気を重視するか、なんですが……そもそもこの魔法の原理って何だろう。
 
焔:んでピクシーはジオ。
DM:魔法の時は、集中の前に目標を決めておいてください。今の目標はどちら?
焔:ピクシーとしては男の方を脅威と思うでしょうな。
聖羅:あ、ジオはそこで打ち止めにしてくださいね? あとあと、ディアが残ってくれてると助かるんで。
焔/ピクシー:「おっけ〜、セーラ。じお〜〜〜〜〜っ!」(ころころ)…15。
聖羅:あらら……不発弾だ(汗)。
DM:びりっときたぜ。
聖羅:「ああん、もうちょっとがんばってよぉ(泣)」チアガール状態です……チャントを使っても、ここではちょっと意味が無いので。
DM:そうかな?
聖羅:あ、でも戦闘意欲がそげるんだ!
DM:少なくとも、一撃は自動的に命中しますね。
聖羅:よし、詠い始めましょうか……《丘と草と風のチャント》です。
DM:では集中1ターン目。
 
 《丘と草と風のチャント》とはカルトマジック「ウィッカ」に含まれる呪術のひとつで、周囲の者を「至福(呪文の《幻惑》がもたらす効果とよく似ていますが、戦闘中だと抵抗にボーナスが加えられます)」状態にしてしまうものです。
 
DM:男は一歩前に出て、鷹村さんを守りましょう。
焔:全力2回目、これで10m。後5mか〜。
DM:では……《天使降臨》。辺りが光に包まれたかと思うと、そこには一体の天使が立っています。メガテン風に言うとエンジェル。
聖羅:うわ、格が違うものを呼び出してきた!(汗)
焔:ぬ……それは判定モノだなぁ。天使に対して「狭量」だから。
DM:意志判定してごらん。ただし、抑えようと思うなら。
焔:……しないだろーなぁ、コイツは。「………良いだろう……殺す!!」
DM:まーどうせ「命知らず」だから、毎ターン全力攻撃だけどね。天使は霊格1だから……その前に恐怖判定してもらおうかしら。
焔:目標は?
DM:目標値は意志(知力)。「戦闘即応」持ってる人は+2です。戦闘中なんで、みんなにさらに+2あげよう。
 
 この判定には、仲魔も含めてみんな成功。じつはちょっと判定を甘くしています。もう戦闘が始まっていましたし、ガープスの戦闘では数秒の遅れが致命的なものになりますからね。
 
DM:んじゃそゆことで、天使の行動が焔のすぐ後に加わります。
焔:天使の登場位置は?
DM:鷹村さんのすぐ前。男の隣ですね。んじゃ3ターン目。
聖羅:いや、ブラウニーです。どうせスクカジャなんですが。重ねていいんですよね?
DM:んー、いいことにするか。+3までね(今回だけ)。
聖羅:はーい。それならもうしばらくスクカジャかな。
DM:ブラウニーは集中、と。ピクシー?
焔/ピクシー:聖羅の所まで下がって待機。
聖羅:集中2ターン目です。
DM:男は焔に移動攻撃。目標値8(ころころ…10)。すかっ。
焔:んで焔は更に全力移動で接敵、大振りの全力攻撃を天使に。
DM:んで、焔はその横を通り抜けて……
焔:天使に全力攻撃、キレてますから。
DM:全力攻撃のオプションは4つ効果を選べますが、どうします?
焔:2回攻撃で。
DM:目標値は……こっちは飛んでるんでホントは修正がかかるんですが、今は抜きにして。ふつうに技能レベルで振ってください。
 
 リプレイでは省略していますが、ルールを説明しながらの進行でGMは非常にアワアワしています。エンジェルへの焔の攻撃は一回のみ命中。
 
DM:1度目のダメージ振ってみてください。
焔:2D6+1で(ころころ…2)低っ。
聖羅:うわぁ(汗)。
焔:頭に血ぃ昇ってるからなぁ……
DM:それにも増して、焔は手応えのなさを感じるわけです……より「霊格」の高い相手に対しては、ダメージが小さくなるんですね(←現在このルールは変更されています)。
聖羅:忘れてた、ダメージの割引があるんでしたっけ。
DM:それはいいとして、鷹村さんはまた集中してみましょう。その手に炎が生み出されます。んで4ターン目。ブラウニー。
聖羅:はい、スクカジャ発動です。目標値は10(ころころ…)ああ、不発だ……。
DM:ガープスだとこれが悲しいよなあ。
聖羅:目標値10だと2分の1ですしね。ちょっと厳しい。
 
 『真・女神転生RPG』では、魔界魔法は発動しやすい(悪魔は自動発動)のがウリだったからなぁ……このあたりも考えるべきかも。
 
DM:ピクシーは待機、聖羅さんは集中かしら? 男は……目の前から焔がいなくなりましたねぇ。
焔:キレて明後日の方向行っちゃったからね。
DM:それはもう、目標は聖羅さん……と言いたいところだけど、その前のブラウニーかな。では移動攻撃(すかっ)。
聖羅:た、助かった……。
焔:んで焔の行動。まずは理性を取り戻すために「狭量」の判定いいっすか?
DM:取り戻そうと思うなら、ですが。
焔:…成功。
DM:冷静になって……さて、何を考える?
焔:「ちっ……」と舌打ちしてから鷹村さんは射程内?
DM:それはブラウニーが盾になるかどうか、というのと同じ問題ですね。まずは攻撃できない方向で。
聖羅:ブラウニーのところまで敵が踏み込んでますよ〜(泣)。いざとなったらアセミイナイフで応戦ですが……。
焔:んじゃ男に向けて移動、届くようなら斬りかかる(ころころ…)。
DM:移動攻撃なら届きます。目標値は最大でも9。いわゆる「大振り」というやつです。
焔:9か、ならハズレ。
DM:んじゃ天使。こっちも集中してやるか。
聖羅:後衛にふみこまれる可能性はなくなった……でも、天使がフリー。どうなるんだか(汗)
DM:そして鷹村さんか。背中を向けた相手に《アギ》。この辺はクローズで……6点の叩き、防護点は有効です。
焔:残13点、まだまだ。
DM:このターンの最初にチャントの効果が現れます。さあ、振ってみて。
聖羅:はいな、いきますよ〜…よし、成功しました!
DM:うん、この場合は成功度が重要になるので…成功度3ですね。
聖羅:はい。
DM:まずは男から。目標値は10−3で7(ころころ…10)ばた。
聖羅:効いた! 戦意喪失。
DM:つぎは鷹村さん。目標値14−3で11(ころころ)…15。ぼー(笑)。
焔:これはどないせぇと(笑)。
DM:天使。これは霊格の差によって+2のボーナスがあるんですが(ころころ)…15。だめだー(笑)
聖羅:やった! 全員無力化しちゃった(笑)。
焔:さすがにコレはどうしようもないっしょ。
DM:天使もぼーっとした。コンシューマで言う「至福」、「HAPPY」の状態ですね。
 
 はい。全滅してしまいました。
 詠唱を止めさえすれば、あるいは攻撃を受けるとすぐに効果が途切れる呪術ですし、じつは相手を倒すつもりの戦闘においてはそこまで強力なものではないんですが。相手を一時的に無力化することのみに目的を絞った今回のような場合には、非常に有効だったりします。距離による修正がまったくないというのも、ちょっと考えるべきでしょうか(現在、「チャント」のルールは変更されています)。
 いやはや、それにしてもこちらの出目が悪かった。
 
聖羅:でも待った。焔には効きませんよね……?
DM:任意の目標は除外できるんだけど……除外しないなら、それはそれで。
焔:除外しないなら、俺も判定か。
聖羅:うーん、こうなったら焔にもかけます。なんだか否応なしに攻撃かけそうな気がする。
DM:いい判断です(笑)。では焔は−3のペナルティを受けて抵抗判定。
焔:意志の強さはありですか? 目標値10(ころころ)…12。ぽへ〜。
聖羅:よし、決まった。これで無血で解決かと。
DM:幸せ〜な気持ちになりました。
聖羅:ブラウニーに剣持って逃げさせるのが先決。というわけで、チャント維持しつつブラウニーに目配せ。
DM:ブラウニーは剣を手に取ろうとして……「ダメだ、これに触ったら俺たちゃ消えちまうぜ!」
聖羅:わたしが持って逃げるしか? ……仕方がない、唱えながら持って戦線離脱しよう(汗)。
焔:しまった、抵抗失敗してるんじゃ持っていく方向もわからねぇっ。
DM:んじゃ剣を持ってすたこらさっさと。
聖羅:というわけで、戦線離脱して自宅へ。お母さんなら対処法がわかるような気が。
DM:では聖羅さんは自宅へ。
 
 引っぱった割には案外あっけない幕切れ。私のマスタリングでははプレイヤーに対して選択肢をなるべく多く提示するようにしているつもりですが、これは予想外でした。
 もちろんダイス目の産物であるとはいえ、キャラクター的には最善の行動であったと言えるでしょう。それに免じて、NPCにもこの場は矛を納めさせることにします。
 
DM:んで、呪術の効果範囲から逃れると効果が解けるわけですが。
焔:ん〜……敵対するネタがないとなぁ。お互い退くかと、あんまり被害出したくないだろうし。
聖羅:はい、退いて下さい。それがわたしの意図。
DM:んじゃ鷹村さんは天使を戻して、「お互い、まんまとやられたようね」
焔:「まったく、無欲の勝利とは言ったものだ……」
DM/鷹村:「けど、あれを他者の手に渡したままにはしておけない。……必ず、取り返す」
焔:「その時は、再見だ」んで納剣したらすたすたと出ていきます。
DM:それはこちらも無言で見送ろう。「鷹村さま、よいのですか?」「……」みたいな会話があって。
焔:ま、こっちの仕事は剣をどうにかするって事だからね。
DM:この後は後日談ってことになりますが、どうします? 聖羅さんのほうまでやっときますか?
聖羅:その日の夜、鷹村さんは『学校の住所録に載ってる住所』のところにいます? だったら演出があります。
DM:いることにしましょう。ではその晩……。
 
 

 
矢束市 住宅街 夜
 
 
聖羅:鷹村さんのところにピクシーが飛んできます。「伝言ですよー」と窓ガラス叩いて。
DM/鷹村:「! あ、あなたは……!(ガラガラ)」
聖羅/ピクシー:「セーラから伝言だよ。『明日からはまたクラスメートでいてくれますか?』って。返事ももらってこいって言われてるんだけど……」
 
 なるほど。セッションは締め方が大事、ここは上手く演出せねば。
 
DM/鷹村:「もちろん、あの娘個人は私にとって大事なクラスメイト。……でも(と言葉を切って)」
聖羅/ピクシー:「でも?」首をかしげて。
DM/鷹村:「……でも、私たちに敵対する限り、『魔女』とも『機関』とも、そこに属する者とも、相容れることはない……覚えておきなさい。これが返事よ」
聖羅/ピクシー:「長い返事だなぁ……確かに伝えるよ。セーラ、喜ぶのかな、泣くのかな……」そういって、ひゅんという風を切る音を残してピクシーは飛んでいきます。
DM:それを見送って、鷹村さんはひとつ首を振り、肩を落とします……。
焔:あ、そしたらちと水仙の花でピクシー釣っていいですか?
 
 プレイ時には気付きませんでしたが、さりげに『デビルサマナー ソウルハッカーズ』ネタが。
 
DM:ま、ご都合で。バーに報告へ出ようとしていた焔は、それに遭遇するわけです。
聖羅/ピクシー:「いい匂いの水仙だねっ。用事があるからあんまり長くはいれないけど、なに、かっこいいおにーさん(軽い)」
焔:「相も変わらず軽いな、スプライト。お前の主に伝言だ。“手間をかけた、報酬の半分はお前に渡す”。それと……その花もくれてやる、俺には価値のないモノだ」
聖羅/ピクシー:「好奇心オーセーっていってほしいな! ……分かった。伝言増えちゃったや……あ、お名前は?」
焔:「天使喰い・焔、それが俺の名だ」
聖羅/ピクシー:「変な名前。じゃあね。あ、あとお花ありがとう!」花をちょっと重そうに抱えて、飛んでいきました。
焔:んじゃバーまで報告に行きましょう。次の依頼がある。
DM:バーのマスターは焔から報告を受けて、ちょっと肩をすくめます。「それは成功……か? まあいい、"魔女"にはこちらから連絡を取っておくさ」
焔:「すまない、報酬の半分は魔女の娘にくれてやってくれ」
DM/マスター:「気にするな。それより焔、次の依頼なんだが……」というところで切りますか。
 
 

 
 そんなわけで、第一回テストプレイ終了です。オンラインでのテストはこれが初めてですが、まだ扱うルールの量が少ないこともあって、まずまずの速度で回ってくれたようです。
 様々な課題を残しつつ、次回(あるのか?)へ続く!
 
 そうそう、焔と聖羅さん担当のプレイヤーお二人から素晴らしいSSを頂きました。そちらもぜひ併せてご覧ください。


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