ルーン魔術

 
主技能:宗教儀式/ルーン魔術、占い師
副技能:美術/ルーン装飾
背景技能:文学(金石文)、野外系技能、ノルウェー語またはアイスランド語(などのゲルマン語派)
推奨特徴:未来予知*、バーサーク、霊媒*
 
流派技能:夢見、アレンジング・ルーン、バインディング・ルーン
 
呪術
レベルT:家畜のルーン、野生牛のルーン、巨人のルーン、雄弁のルーン、車輪のルーン、松明のルーン
レベルU:贈り物のルーン、栄光のルーン、雹のルーン、欠乏のルーン、氷のルーン
レベルV:四季のルーン、櫟のルーン、賽子杯のルーン、大鹿のルーン、太陽のルーン
レベルW:戦神のルーン、樺のルーン、馬のルーン、人間のルーン
レベルX:水のルーン、豊饒のルーン、祖先のルーン、日周のルーン
レベルY:運命のルーン
 
特殊ルール
・ルーンを刻む:呪術は主に人や空間に対してかけますが、中にはルーンを物品に刻みつけることで、それを使うものすべてが呪術の恩恵を受けられるようにしたものもあります。持続時間や効果は変わりません。また「儀式魔法」として用いることで、その効果を半永久的に持続させることができます。いずれの場合でも、ルーンが消されたり傷つけられると呪術は効果を失います。ルーンの書かれた箇所を狙って攻撃する場合のペナルティは−7で、1点でもダメージを受けるとルーンの効果は消えてしまいます。
 ルーンは外から見てはっきりと分かる位置に刻まれなくてはなりません。<偽装>などによって、ルーンが刻まれたアイテムを見えにくい場所に置くことは可能です。
 こうした使い方が可能な呪術は、データに「刻印」の項があるもののみです。また、この項に挙げられた物品はあくまで一例です。プレイヤーは想像力を働かせてください。
 
 
◇技能

 
アレンジング・ルーン(知力/至難):ルーンは言葉や文字そのものが力を持っており、定められた手段によってそれを解放するのはさほど難しいことではありません。ルーン魔術においてもっとも難しく、そしてもっとも重要なのは、ルーンに秘められた真の意味を知り、その力を損なわないまま様々に変化させることです。
 これはそうしたルーン魔術の応用を表す技能です。呪術と併せてこの技能を用いることで、呪術の発動を遅らせたり、特定の出来事をキーとして発動させたりすることができるようになります。この試みには1分の時間がかかります。
  技能判定の際には、キーとなる出来事を描写する1文節ごとに−2のペナルティを受けます。例えばこんな具合です――「100年後(−2)」「日が/沈む(−4)」「青い/鎧の/騎士が/通る(−8)」「赤毛の/少女が/泉の/そばに/座る(−10)」。個人を特定することはできません。ある名前を口にしたとき、などという指定なら可能でしょう。
 こうした出来事があらかじめ指定した範囲で起こった瞬間に、呪術はその引き金を引いたキャラクター、もしくはもっとも近くにいるキャラクターに襲いかかります。抵抗判定は、そのルーンがしかけられたときの呪術判定の成功度に対して行います。
 この技能を使用するには、呪術をしかける場所にルーンを書き込んでおかなければなりません。呪術を発動させずにこれを発見することができれば、簡単にその効果を解除することができます。<アレンジング・ルーン>の修得者は、書かれたルーンから、どの呪術が働いているか、どのような出来事がキーになっているかを見分けることができます。
 
バインディング・ルーン(知力/難):ルーン同士を組み合わせて新たなルーンを作り出し、一度に複数の呪術の効果を得ます。呪術判定の直前に、余分に組み合わせる呪術ひとつごとに−2のペナルティを受けて技能判定を行ってください。こうしてできあがった呪術のレベルは組み合わせたものの平均(端数切り捨て)で、消費エネルギーは組み合わせたものの合計となり、準備時間は組み合わせた呪術のうちもっとも大きいものになります。それぞれの呪術を別々の対象にかけることはできません。範囲呪文と通常呪文を組み合わせた場合、通常呪文の対象を中心として範囲呪文が発動します。
 
 
◇呪術

 
家畜のルーン 通常
 豊かな富の象徴、家畜を表すフェオ(FEOH)のルーンによって、対象のHPを消費エネルギーと同じだけ回復させます。
持続:永久 消費:1〜3
 
野牛のルーン 通常
 荒々しき古代の野生牛、オウルコスを表すウル(UR)のルーンをもって、対象に眠る野生の力を目覚めさせます。
 術者の「修得段階」と同じ値、対象の体力が増加します。ただし戦闘に参加している間、対象は毎ターン目標値15の自制判定を行わなければなりません。失敗するとバーサークしてしまいます。消費エネルギーを2倍にすることで体力へのボーナスは2倍になりますが、自制値は12になります。消費エネルギーを3倍にすればボーナスは3倍で、自制値は9です! このバーサークは、呪術の効果が切れてもしばらくは続きます。詳しくは特徴の「バーサーク」を参照してください。
 これらの自制判定は行わなくてもかまいません。もとから「バーサーク」の特徴を持っているキャラクターは、自制値が一段階ずつ下がっていくものとみなします。
持続:1分 消費:3(3倍消費まで)・維持も同じ 刻印:武器や農機具
 
巨人のルーン 範囲/知力で抵抗
 恐ろしい巨人(一説にはトール)や魔物を表すルーン、ソーン(THORN)によって、対象に原初的な恐怖を呼び起こします。範囲内に存在する知的生物は、抵抗判定の失敗度をペナルティにした恐怖判定を行わなければなりません。
消費:基本消費2(最低4)・維持はできない 刻印:兜や仮面、魔よけの像など
 
雄弁のルーン 通常
 口、雄弁、そして秘密の言葉を司る神でもあるオーディンを表すルーン、アンスール(ANSUR)の力をもって、対象のコミュニケーション能力を高めます。対象は影響技能や反応判定に、術者の「修得段階」と同じ値のボーナスを得ます。
 ただし、この呪術の影響下にあるときに影響判定に失敗した場合、必ずファンブルとして扱われます。反応判定で「良くない」以下になった場合は「とても悪い」になります。
持続:1分 消費:4・維持も同じ 刻印:帽子や仮面
 
車輪のルーン 通常
 車輪や旅を象徴するルーン、ラド(rado)の力によって、対象の移動力を術者の「修得段階」と同じ値だけ高めます。反応力、つまり「よけ」の値は変わりません。
 また、この呪術は「旅人への祝福」として使用することもできます。出発の前にこの呪術をかけておくと、1日の移動距離は1割増になり、移動による疲労が半分になります。
持続:1分または1日 消費:3 刻印:車輪の付いた乗り物
 
松明のルーン 範囲
 燃えさかる炎や奮い立つ心を表すルーン、ケン(KEN)の力によって範囲内を明るく照らし出します。また、その光を浴びている者の意志力にボーナスを与えます。
持続:1分 消費:基本消費1(ロウソク程度の明るさ、視覚判定−6、意志力+1。2倍消費で視覚−3、意志+2。3倍消費で視覚ペナルティなし、意志+3)・維持も同じ。 刻印:火を用いた照明器具
 
贈り物のルーン 通常/知力で抵抗
 物品にかける呪術です。心のこもった贈り物を表すギュフ(GEOFU)のルーンの力によって、あるアイテムをよりよいものに見せかけます。これをプレゼントとして贈られ、かつ抵抗に失敗したものは、贈り手に対する反応判定に「修得段階」と同じボーナスがあります。
 2倍のエネルギーを消費することで、抵抗に失敗した対象に、贈り手に対する一時的な「熱狂」の効果を与えることができるようになります。
持続:1時間 消費:2。4点消費で「熱狂」を与える 刻印:すべて
 
喜びのルーン 通常
 昂揚する心を表すルーン、ウィン(WYNN)の力をもって、対象の精神的な不調を解除します。負傷による気絶、睡眠不足による眠気など、二次的な効果は「精神的な不調」とはみなしません。それが魔法的な原因によるものである場合、それを引き起こした者の呪術レベルや意志力との即決勝負が必要です。
消費:4
 
雹のルーン 範囲
 自然の持つ破壊的な力を表すハガル(HAGALL)のルーンによって、範囲内に大粒の雹を降らせます。
 雹は範囲内のものすべてに対し、毎ターン1Dの小型貫通体ダメージを与えます。ダメージは行動順が回ってきたときに適用します。1ターンすべてを範囲内で過ごしたのでなければ、ダメージは半分です。
 この呪術は屋外でのみ使用できます。盾などを頭上に掲げればダメージを受ることはありませんが、もちろんそうした遮蔽物はダメージを受けるでしょう。盾をかざすには1ターンの時間と両手が必要です。
持続:1分 消費:基本消費3・維持も同じ。エネルギー消費2倍で2倍ダメージ 準備:2秒
 
欠乏のルーン 通常/意志力で抵抗
 欠乏や不満を表すルーン、ニイド(NIED)の力によって、対象の心の内に潜む欲望やコンプレックスを増大させます。抵抗に失敗したキャラクターは、ただちに自らの持つ不利な精神的特徴すべてについて、2段階(15→12→9→6)自制値が悪くなったものとして判定してください。もともと自制値が9以下の場合、自動的に失敗します。
 この呪術によって表れる精神的特徴は非常に強烈で、対象はもっとも短絡的な手段でその欲望を満たそうとします。「バーサーク」なら敵味方もかまわずに襲いかかり、「火が好き」ならば放火も厭いません。
 この呪術の持続時間内は、正気を取り戻そうとする際の自制判定の目標値は下がったままです。持続時間が切れてから、あらためてもとの値で自制判定を行ってください。
持続:10分 消費:5 刻印:装飾品
 
氷のルーン 範囲/体力で抵抗
 氷のルーン、イス(IS)の力を使い、範囲内のあらゆるものを凍り付かせます。水は一瞬で凍り付き、空中にはダイアモンドダストが発生し視界を妨げ(視覚判定−2)ます。この呪術の効果を受けている空間を通る1ヘクスごとに、火による攻撃のダメージは「修得段階」点ずつ減少します。低温に弱い生き物も同様のダメージを受けるでしょう。
 範囲内に存在するものは、1ターンごとに体の4分の1ずつの割合で、接地面(足元)から氷に包まれていきます。体力判定に成功することで抜け出すことができますが、判定には氷に覆われている4分の1ごとに「修得段階」と同じ値のペナルティを受けます。また、氷に覆われている割合ごとに、さまざまな行動に以下のペナルティを受けます。
 
1/4(膝までの氷):移動不可、「よけ」半減、射撃武器以外による攻撃に−3
2/4(腰まで):移動不可、「よけ」不可、射撃武器以外による攻撃に−6
3/4(胸まで):移動不可、「よけ」不可、射撃武器以外による攻撃に−10、長射程攻撃攻撃に−4。
4/4(全身):脱出以外のあらゆる行動不可、「窒息(『ベーシック』p.414)」の影響を受ける
 
 氷そのものは術者の「修得段階」と同点の防護点とヒットポイントを持ちます。氷に覆われている4分の1ごとに、これらの値は+1されていきます。
持続:1秒 消費:基本消費2・維持は半分 準備:3秒 刻印:岩、建造物など
 
四季のルーン 範囲
 収穫や一年を表すルーン、ヤラ(JARA)の力によって、範囲内の植物を急成長させます。草などなら通行を邪魔する障害物となります(移動力半減、よけに−2)。茂みや灌木は障害物となり、通り抜けることができなくなります。これを取り除く場合、防護点は4、ヒットポイントは1ヘクスにつき20点として扱います。この呪術が効果を発揮したときに範囲内にいたものは、そのターン内に出て行かないと植物に捕まってしまいます。
 また、この呪術は「豊かな実りへの祝福」として使用することもできます。成長速度は変わりませんが、効果範囲は10倍となり、範囲内の農作物の収穫は2割増しになります。
持続:1分、または収穫期まで 消費:基本消費1(草や農作物)または2(茂みや灌木)・維持は半分 準備:2秒 刻印:樹木、地面
 
櫟のルーン(至難) 白兵/生命力で抵抗
 ゲルマンの伝承において死と再生を象徴する木、櫟(イチイ)を表すユル(YR)のルーンを直接刻みつけることにより、対象を死の世界へと引きずり込みます。抵抗に失敗した対象はただちに「昏睡(『ベーシック』p.407)」状態になります。成功すれば、何の効果もありません。
 この呪術は、「蘇生(『ベーシック』p.402-3)」を試みる際に<医師>や<応急処置>の代わりとして使用することもできます。この試みには1分の時間がかかり、判定の際には<医師>技能にかかるものと同じ修正があります。また、同じ対象にこの呪術を試みるたびに−2ずつペナルティが加算されてきます。
消費:8 準備:4秒
 
ダイスカップのルーン 通常
 ダイスカップ(賽筒)を表すルーン、ペオース(PEORTH)の力によって、一時的に「幸運」の特徴を与えます。ただし、「幸運」の効果によって振り直した出目がひとつ前の目と同じだった場合、その判定は必ずファンブルになってしまいます。
消費:4 刻印:ダイスカップ、サイコロ、トランプなど
 
大鹿のルーン 範囲
 友愛や保護の象徴である大鹿を表すルーン、エオロー(EOLH)の力をもって、範囲内のすべてのキャラクターに対し「修得段階」点の防護点を賦与します。この防護点は味方同士が互いに隣接しているときのみ適用され、1ヘクスでも離れると効果を失ってしまいます(持続時間内であれば、味方に隣接することで再び効果があらわれます)。
 この呪術は家や柵などにかけることもでき、同じだけ防護点を上昇させます。
持続:1分 消費:基本消費2・維持も同じ 準備:2秒 刻印:鹿皮製の服や防具
 
太陽のルーン 範囲
 北欧においてもっとも待ち望まれるもの、太陽を表すシゲル(SIGEL)のルーンによって、暖かな陽光で範囲内を照らします。
 曇りの日の屋外で使うと、雲間を割って光が現れます。夜に使うと、星1つが太陽と同じ明るさで輝きだし、範囲を照らします。洞窟でこの呪文を使うと、頭上の岩から延びた一筋の光が範囲を満たすことになります。
持続:1分 消費:基本消費2・維持は半分 刻印:岩や建造物
 
戦神のルーン 通常
 アース神族の軍神ティール(TIR)を表すルーンを刻むことにより、対象にその力の一部を与えます。対象は一時的に「戦闘即応」「痛みに強い」の特徴を得、すべての戦闘技能が1レベル増加します。
持続:1分 消費:5 準備:2秒 刻印:武具
 
樺のルーン 通常
 包容力や母性の象徴である樺のルーン、ベオーク(BEORC)の力によって、対象のヒットポイントを1ターンに「修得段階」点の割合で回復させます。その間、対象となったキャラクターは攻撃や移動を行わず、じっとしていなければなりません。
 また、対象が一日中安静にしていたときに限り、病気や怪我が回復したかどうかの判定の際に+1のボーナスを与える効果もあります。
持続:1秒または1日 消費:5・3
 
馬のルーン(至難) 通常
 馬を表すエオー(EOH)のルーンによって、対象を一瞬で別の場所に転送します。この呪術を他者に使う場合、対象が転送について同意している必要があります。
 移動先の特定のしかたによって、呪術判定には以下のような修正が加えられます。
 
 距離と方向だけ決める:−4。移動先の安全については保証されません!
 地図上で把握:−4。その地図の縮尺によって、ある程度のズレが生じるでしょう。
 テレビ映像や写真、絵などで見た光景:−2(テレビ)〜−6(絵)。危険な方法です。距離による修正や消費エネルギーは判定を行うまでわからず、その場所がまだ存在しているかどうかもわかりません。移動距離を特定した上で、移動先のイメージの補助としてテレビなどを使う場合、このペナルティは半分になります。
 
 移動先が術者になじみの深い場所であれば修正はありません。術者はこうした場所を「知力/2」個まで持っています。なじみの場所をこれ以上に増やそうとするなら、1ヶ所につき1CPを消費してください。
 この呪術の判定には、移動する距離によって長距離の修正(『ベーシック』p.233)がかかります。この呪術に1差で失敗した場合、本来目的地より移動距離の5分の1ほど離れた場所に転送されます。
消費:6+距離修正の絶対値 準備:2秒
 
人間のルーン 特殊
 伝説的な英雄たちを表すマン(MANN)のルーンの導きによって、ヴァルハラの野より戦士を召喚します。
 呼び出された戦士の「霊格」レベルは4で、能力値は体力16、敏捷力14、知力10、生命力14、ヒットポイント16/48、意志力14、知覚力12です。また、「痛みに強い」「戦闘即応」の特徴と任意の武器技能(もしくは<格闘>)3種を14レベルを持っています。武器や盾は術者の任意によるものを3種までと、文明レベル2以下の防具をはじめから装備しています。彼らが力を貸してくれるのは基本的に戦闘に関することのみで、普通は戦場を脱すると姿を消してしまいます。
持続:次の日没または日の出まで・維持できない 消費:8 準備:1分
 
水のルーン 通常
 豊かな想像力を表す水のルーン、ラーグ(LAGU)の力によって対象の知力を上昇させます。発想力が重要とされる絵画や詩などに関する判定には、さらに2倍のボーナスを得ることができます。
 この呪術は「船旅への祝福」として用いることもでき、持続時間中に起こった船や海川に関する判定のファンブルを1回だけ成功に変えることができます。
持続:1分または1日 消費:知力+1につき2(最大+5)・維持も同じ 刻印:船
 
豊饒のルーン 範囲/意志力で抵抗
 美と豊穣の神イング(ING)を象徴するルーンの力によって、範囲内の対象すべてを魅了します。魅了された者は術者の命令に従い、命令がなくとも術者の身を最優先で守ろうとします。命令が本人やその仲間に危険が及ぶようなものであった場合、もう一度抵抗判定を行うことができます。
 この呪術は「豊穣への祝福」として使用することもできます。《豊穣のルーン》の影響にあるキャラクターは、妊娠する(させる)かどうかの判定に+1のボーナスを得、生まれた子どもの生命力判定のファンブルを1度だけ成功に変えることができます。
持続:1分 消費:基本消費6・維持は半分 刻印:ベッド、揺りかご
 
祖先のルーン 情報/霊の知力で抵抗
 故郷や先祖を表すルーンであるオセル(OTHEL)の力によって先祖の霊を呼び出し、知恵を授かったり他の霊を探し出して連れてきてもらったりすることができます。
 ひとつの質問を行ったり、他の霊を連れてくるには1分かかります。求める相手を首尾良く連れてこられたかどうか、呪術判定を行ってください。相手の姓名を知らないなら−5の修正があります。目標は普通、持てる限りの知識を使って質問に答えてくれます。答えたくない質問の場合、霊の知力で抵抗判定を行います。
 「霊媒」の特徴を持ち、協力的なキャラクターに霊を憑依させることで、この呪術の持続時間は2倍になります。敵対的な霊の場合は暴れ出したりするかもしれません。
 また、家、柵で囲まれた土地などにこのルーンを刻むことで、先祖の加護を受けることができます。そうした場所やその内部の人間は、魔法的な攻撃への抵抗判定に+1のボーナスを得ます。この使い方の場合、持続時間は1日となります。
持続:1分または1日 消費:20・10 準備:10分 刻印:建造物や柵で囲まれた土地
 
日周のルーン 範囲/呪術レベル(など)で抵抗
 新たな出発や変化を象徴するダエグ(DAEG)のルーンによって、効果範囲内にはたらくあらゆる魔法的な効果を解除します。対象を任意に選択することはできません。呪術を解除する場合はその呪術のレベル、魔界魔法や抵抗判定の存在する「特殊攻撃」「特殊効果」なら攻撃者の意志力と、それぞれ即決勝負を行ってください。
 この呪術によって、半永久的な効果をもたらす魔法を解除することはできません。
消費:基本消費2(最低14) 準備:2秒 刻印:すべて
 
運命のルーン 通常/防御
 運命の諸力を表すウィルド(WIRD)の力によって、あらゆる運命を白紙に戻すことができます。何も書かれていないことから、このルーンはブランクルーンとも呼ばれています。
 この呪術が効果を発揮した瞬間、あるひとつの出来事が未発の状態に戻ります。ティーカップは机から落ちず、剣は振り下ろされませんでした。それどころか、戦闘そのものが起こらなかったかもしれません。
 「ひとつの出来事」をどこからどこまでに区切るのか、詳細はGMが決定してください。遡る時間は最大で1分程度、防御呪文として使用した場合は1D秒程度です。この呪術の判定には距離による修正は適用しません。
消費:3D
 
 
ルーン魔術について

 ルーンというと北欧のイメージがありますが、考古学の成果によれば、その発生は北イタリア周辺であると言われています。若干の地域差はありますが、紀元1世紀ごろにはゲルマン系の諸民族によって現在のようなルーン文字が使用されていたようです。
 多くの文字がそうであるように、ルーンもまた呪術的な意味を持っていたと考えられており、ルーンの刻まれた祭器や武具などが数多く発掘されています。文字の装飾性や古代ゲルマン文化の魅力も手伝ってか、神秘学者やファンタジー作家によってさまざまな意味が付加された結果、いまやルーンは「魔法」の同義語といってもよいほどになっています。
 後世になって再生産、再々生産されたルーンのイメージは非常に幅広いものになっています。残念ながら、今では古代ゲルマン人がどのような信仰をもっていたのかを正確に知ることはできません。しかし、ヨーロッパに伝わる数々の祭や北欧に登場する魔術神オーディンなどの姿から、かすかにその名残を感じ取ることができます。プレイの際にはその面影を追うのもいいですし、『指輪物語』に代表されるファンタジー作品にそのイメージを求めるのもいいでしょう。
 そうした理由から、「ルーン魔術」に含まれる技能は極力減らしてあります。プレイヤーは、それぞれのイメージにふさわしいルーン魔術の使い手を思い描いてください。冒頭に挙げたように、ルーンは北欧に限らず存在していました。アースやヴァン神族のみならず、ケルトやスラブ系のキャラクターにも違和感なく身に付けられるかと思います。
 
 データとして見た場合、カルトマジックの中でももっとも使いやすいものになっています。戦闘の補助として使用できる呪術が多く、その使い方にもそれほど工夫がいらないので、戦士たちの第二技能に打って付けでしょう。反面、他のカルトマジックに比べると、直接的な攻撃力や霊的な存在へのアプローチには少々劣っています。
 そんなルーン魔術ですが、「ルーンを刻む」、<アレンジング・ルーン>といったルールを使うことで途端にその応用の幅が広がります。追っ手に対して罠をしかけたり、《贈り物のルーン》を刻んだアイテムをそれと気付かせずに相手に渡したり……発想力次第で、無数の使い方が考えられるでしょう。
 オーディンのように戦いのためにルーン魔術を使うか、ロキのようにトリッキーに使うか……すべてはプレイヤー次第です。

 
TRPGへ戻る トップへ戻る