タオ(道教)

 
主技能:宗教儀式/道教、哲学/道教、呼吸法
副技能:美術/書道、神学/道教、瞑想、伝統療法、声まね/動物の声
背景技能:楽器演奏/笛(種類は任意)、戦略、歴史、文学、中国系の武術
推奨特徴:精霊共感(対象限定:「仙族」の悪魔)*、老化しにくい、聖職者、透明が見える(「実体のみ」の限定を持つ「透明」に対してのみ)*、仲間(悪魔の)*、万能の天才*、霊媒*、信仰による規律
 
流派技能:錬金術、軽足、超跳躍、八艘跳び、砕打、強打、肉体制御、飛行、*特殊攻撃/咒符、*咒符作成、*特殊攻撃/ビーム
 
呪術
レベルT:視鬼、嘯呼鳥獣、霊活符、周天法、使役符
レベルU:叫化功、禁孤魅符、隠身符、禁人符、防呪詛符
レベルV:嘯呼魔鬼、五行禁符、禁門符、飛仙符、吸魂符
レベルW:神明鏡符、傀儡符、刻鬼符、叫魂、収魂、嘯呼晴雨
レベルX:五雷法、欲来見形符、替身符
レベルY:八門遁甲符
 
特殊ルール
・符術:名称に「〜符」とあるものは、符術、つまり咒符を用いた呪術です。
 咒符は、対象に貼り付けることではじめて表に書かれた効果を発揮します。敵に咒符を貼り付けるには、咒符を手に準備した状態で接触に成功するか(「組みつき」として判定)、下記の<特殊攻撃/咒符>を使用しなければなりません。GMの許可により、符を貼った投擲武器(正確さが−1され、射程距離は半分になります)を命中させたり、何らかの罠によって貼り付けることができることにしてもいいでしょう。
 いずれかの手段によって符を貼り付けることに成功したら、そのターンの最後に呪術判定を行います。距離によるペナルティはありません。他人に咒符を貼ってもらうこともできますが、この場合は術者から咒符までのメートル数が呪術判定のペナルティとなります。
 そのまま相手に貼り付ければ白兵呪文、他人に貼ってもらえば通常呪文、<特殊攻撃/咒符>を射撃呪文(それぞれ発動のタイミングが少々違いますが)になると考えれば分かりやすいでしょう。
 ゲーム上、ひとつの咒符はあらゆる符術に用いることができるものとします。これはデータの処理を簡単にするためですが、これが便利すぎると思うなら、咒符を作成した時点でそこに込められた効果を決めておいてください。また、タオの使い手は自らの作成した咒符と一種の精神的なつながりを得ます。このため、一人の術者が持てる咒符の最大数は術者の知力に「タオ」の修得段階をかけたものになります。
 
・咒符の特性:咒符は水に濡れたり破れたりすることで、簡単にその効果を失ってしまいます。咒符に防水加工を施したり、普通の紙以外の材料で符を作ることはできません。
  また、一度貼り付けられた咒符は簡単に剥がすことができます。「組みつき」か通常攻撃として判定してください。どちらの場合も、咒符の大きさによる−5の修正を受けます。ダメージを1点でも受けると咒符は剥がれ落ち、効果を失います。魔界魔法や炎のブレスのような「大ざっぱな」攻撃の場合、符を貼った部位に対する攻撃は、かならず咒符にも命中したものとみなします(ただし、頭部および胴体の前面部と背面部は別の部位として扱います)。対象全体を巻き込むような攻撃の場合は、どのような部位に貼っていてもかならず剥がれてしまいます。
 どのような使い方であれ、咒符を外から見えない位置に貼ることはできません。かならず衣服などの一番外側に貼ってください。
 
  ・咒符を用いた儀式:符術を「儀礼魔法(『ベーシック』p.230)」として用いることで、その効果を符が剥がされるまで半永久的に持続させることができます。このとき、2倍のエネルギーを消費するごとに、呪術の「霊格」が1レベル上昇します。儀式には消費エネルギーと同じ枚数の咒符が必要です。効果時間が「一度のみ」などとなっている符の場合、その効果を発揮するたびに符は一枚ずつ剥がれていきます。
 
・長嘯:《嘯呼鳥獣》と《嘯呼魔鬼》、《嘯呼晴雨》は、口笛や声で動物などの声をまね、対象を呼び寄せる「長嘯」と呼ばれる呪術体系の一種です。この呪術に笛を用いると、呪術レベルによる修正を加える前の消費エネルギーが半分になり、効果範囲は2倍になります。
 
 
◇技能

 
特殊攻撃/咒符(敏捷/易):咒符を対象に命中させるための技能です。咒符を手に呪文を唱えることで、咒符は青白い炎に包まれながら目標へ向かって花火のように飛び、命中すると同時にその効果を発揮します。命中しなかった符は、何かに当たった時点で熱のない炎となって四方に飛び散ります。再利用はできません。
 咒符は、1ターンに最大で「<特殊攻撃/咒符>レベル」枚まで飛ばすことができます。この連続した攻撃は反動1の「速射」として扱い、命中した符のそれぞれが完全な効果を発揮します。複数射撃や制圧射撃を行うことも可能です。
 
咒符作成(知力/難):1時間ほどかけて精進潔斎して身を清め、儀礼的な方法に則って咒符を作成します。
 咒符1枚を作るのに必要な時間は10分程度です。筆・硯と紙、白衣を用意してください。紙は白紙ならばなんでも構いませんが、上質の和紙を用いれば判定に+1の、墨の乗りにくい紙なら−1〜の修正があります。判定に成功すれば、すぐに符呪に使用できる咒符が1枚完成します。
 
特殊攻撃/ビーム(敏捷/易):呪術《五雷法》を命中させるための技能です。<特殊攻撃/五雷法>と名称を変更してもいいでしょう……特にゲーム的な意味はありませんが。
 
 
◇呪術

 
視鬼(しき) 情報・範囲/特殊抵抗
 範囲内に存在する霊体やそれに準ずる悪魔、何らかの方法で透明になっている悪魔、人間に「変身」している悪魔を見ることができます。術者の視界は遮蔽物によって遮られますが、暗闇による影響は一切受けません。その悪魔の姿を隠しているのが呪術ならそのレベル、魔界魔法や特徴によるものなら、術者やその悪魔の意思力で抵抗します。
持続:1分 消費:1(最低2)
 
嘯呼鳥獣(しょうこちょうじゅう) 情報
 術者を中心とした半径「タオ」の修得段階×呪術レベル×10メートルの円を範囲として、動物1体(群れをなす動物なら群れ1グループでも可)を呼び寄せたり追い散らしたりすることができます。 それらの命令がその動物の意思に明らかに反するものであった場合、呪術レベルと対象の意思力で即決勝負を行ってください。 対象となる動物を指定することもできますが、その動物が呪術の範囲内にいなければ自動的に失敗します。また、術者を中心として周囲すべての動物(種類は限定できます)を呼び出すこともでき、この場合は効果範囲が10分の1になります。
 術者は動物とちょっとした会話を交わすか、なにか簡単なこと(「あれを取ってこい」とか「あいつを襲え」など)をひとつ命じることができます。 動物の能力値は常にテンプレートと同じものと見なしますが、女神転生では動物といえど、多少の情報を得られるだけの知力を持つことにしてもよいでしょう。
 呼び出された動物は10分の間そこにとどまります。その後の行動は反応判定の結果によります。
持続:10分 消費:2 準備:10秒
 
霊活符(れいかつふ) 符術
 武器や拳にこの符を貼ることで、霊的な武器と化します。武器の霊格は術者の「タオ」の修得段階と等しくなり、同じ値だけダメージが上昇します。
持続:1分 消費:2
 
周天法(しゅうてんほう) 特殊
 この呪術は生命力が基準になります。
 自らの気を天地の気に同調させ、大きく循環させることで新たな気を取り込む気功法の一種です。この呪術を15レベルで修得していると、疲労点の回復の割合が5分に1点になります。20レベル以上なら、2分に1点です。
 周囲が清新な気に満ちた空間(深い山や森、霊地など)であれば、この呪術の効果は2倍になります。逆に、空気の悪い大都会などではこの呪術は効果を発揮しなくなります。
前提:<呼吸法>
 
使役符 (しえきふ)  符術
 咒符に念を込めることで、人の形を取らせることができます。髪の毛や体の一部が手に入れば、咒符と合わせて特定の人物にそっくりな人形を作ることも可能です。
 咒符で作られた人間は7、8単語程度の命令を理解し、簡単な作業を行うことができます。能力値はすべて8+術者の「タオ」の修得段階レベルとして扱いますが、1点でもダメージを受けたり水に濡れたりすると、破れて符に戻ってしまいます。
持続:12時間 消費:3 準備:10分
 
叫化功(きょうかこう) 防御
 鋭い呼気と共に気の流れを活性化させ、霊的な攻撃に対する防御力を増します。
 抵抗判定のある魔界魔法またはカルトマジックに対して使用します。それらの攻撃への抵抗判定に、術者の「タオ」の修得段階レベルに等しいボーナスを得ることができます。一度受けてしまった影響を除くためにこの呪術を使用することはできません。
消費:2
 
禁孤魅符(きんこみふ) 符術/意思で抵抗
 この咒符を貼られた悪魔は一時的に、術者に対して呪術レベルを効果範囲とした「嫌悪」の特徴を得ます。この呪術は、術者以下の霊格レベルの悪魔にしか効果がありません。
持続:1時間 消費:2
 
隠身符(おんしんふ) 符術
 咒符の力によって、あらゆる存在・感覚から姿を隠すことができます。相手が積極的に探そうとしている場合、あるいは情報呪文などを使用した場合にのみ、視覚判定やそうした呪文などと《隠身符》レベルの即決勝負を行います。隠れている者が「偶然に」見つけられることはありません。
 隠れている者がわずかでも移動すると、この呪術の効果はただちに途切れてしまいます。
持続:12時間 消費:3
 
禁人符(きんじんふ) 符術/意思で抵抗
 咒符を貼ったものを「麻痺(無力化される効果(『ベーシック』p.406))」の状態にします。この呪術は人間にしか効果がありません。
 この呪術を「儀礼魔法」として使用した場合、対象を仮死状態にすることもできます。呼吸や脈拍はかぎりなく小さくなり、食事や水分も必要なくなります。歳を取ることもありません。
持続:1時間 消費:5
 
防呪詛符(ぼうじゅそふ) 符術・防御
 この咒符を貼った対象への「呪殺」に属する攻撃を、一度だけ完全に防ぐことができます。この呪術にクリティカルで成功していた場合、攻撃をそのまま攻撃者に反射します。
持続:1時間・または効果が発揮されるまで 消費:4
 
嘯呼魔鬼(しょうこまき) 情報
 術者を中心とした半径「タオ」の修得段階×呪術レベル・メートルの円を範囲として、術者の霊格以下の悪魔1体を呼び寄せるか追い散らすことができます。呼び寄せる悪魔やその種族、神族を指定することもできますが、該当する悪魔が呪術の範囲内にいなければ自動的に失敗します。 また、人間並以上の知力を持つ悪魔の場合、この呪術に抵抗しようとする意思があれば、この呪術は自動的に失敗します。
 術者のもとにたどり着いたその時点で、この呪術の効果は終了します。必要ならば反応判定や交渉を行ってください。
消費:4 準備:30秒
 
五行禁符(ごぎょうきんふ) 符術・防御
 五行の働きを禁じ、関係する対象からのダメージ・悪影響を完全に防ぐことができます。防ぐことのできる対象は下記を参照してください。たとえば「禁火符」を使用すれば、火に包まれようが溶鉱炉に投げ込まれようが、持続時間中はダメージを受けることはありません(その他の要因によって咒符が剥がれてしまうかもしれませんが)。グレネードの爆風のように、火によるものか衝撃によるものか判別しがたい場合、半分のダメージを受けるとしておけばいいでしょう。いずれの場合も、術者を超える「霊格」を持つ攻撃を受けると、咒符はその攻撃によるダメージを半分だけ防いで効果を失います。
 この咒符から得られる効果は、キャラクター1人につきいずれか1種類です。2枚以上の五行禁符を同一のキャラクターに対して貼り付けることはできません(防御呪文としては使用可)。
 禁木符:木製の武器や矢
 禁火符:火、温熱
 禁土符:投げ飛ばしや落下などによる地面との激しい衝突、投石など
 禁金符:金属製の武器や弾丸
 禁水符:水、冷気、電気
 この呪術を防御呪文として使用した場合、効果は一回・一瞬のみとなります。
持続:1時間 消費:4 
 
禁門符(きんもんふ) 符術
 その部屋に存在するすべての扉や窓などに咒符を貼ることにより、術者に害意を持つ悪魔や生物の通行を妨げる結界を張ります。あるいはいずれかの窓などに貼り、物理的にその開閉を禁じることができます。いずれの場合にせよ、結界は術者の「霊格」以下の攻撃に対して完全な防御力を持ち、結界を越えて魔法をかけたり、物を投げ入れたりすることもできません。 この呪術は空間全体にかけますが、範囲魔法ではないことに注意してください。
 部屋の広さや形状にもよりますが、通常はひとつの部屋を完全に封じるのに3枚(ドアひとつ+窓ふたつ)の咒符が必要であるとみなします。野外ならば、4枚の咒符と結界を示す紐などを用い、外周が呪術レベル・メートルまでの範囲に結界を張ることができます。
 術者を越える「霊格」を持つ存在だけがこの結界を超えることができます。そうした存在がこの結界を超えようとしたら、1D6ターンに1枚ずつ咒符が焼き切れていきます。この時間を稼ぐため、ひとつの窓などに1枚以上の符を貼ってもかまいません。
持続:12時間 消費:8・維持は半分 準備:咒符を貼り終えてから1秒
 
飛仙符(ひせんふ) 符術
 この符を貼られた者は、一時的に空を飛ぶことができます。これは「飛行」の特徴とみなしますが、このときの移動力は、「高速移動」などによる修正を除いた地上の移動力に、術者の「タオ」の修得段階レベルをかけたものになります。
持続:1時間 消費:4
 
吸魂符 (きゅうこんふ)  符術/意思力で抵抗
 この符を貼られた悪魔はたちまち符の中に吸い込まれてしまいます。または、悪魔の入り込んだ箱や壷などを封印することができます。完全な肉体を持つ悪魔、造魔、悪魔人などに対しては無効です。また、術者の霊格以下の悪魔に対してしか効果がありません。
 封じられた悪魔とは、シンクロの危険なく会話することができます。咒符が破られたり、燃やされたりすると悪魔はふたたび解放されます。
持続:符が破壊されるまで 消費:2+対象のコスト
 
神明鏡符(しんめいきょうふ) 符術・防御
 この符を貼った対象へのあらゆる直接的な物理攻撃(白兵武器や素手による攻撃、長射程攻撃)を、一度だけ攻撃者に反射します。跳ね返された攻撃に対する防御判定には−4のペナルティが課せられます。
持続:1時間・または効果が発揮されるまで 消費:6
 
傀儡符(くぐつふ) 符術/意思力で抵抗
 咒符を貼ったものに、一時的に「奴隷根性」の特徴を与えます。命令ははっきりと口に出されなければなりません。ゲーム的には、1ターンに3単語ほどの命令を与えることができるものとします。
持続:1時間 消費:7
 
刻鬼符(こくきふ) 符術/生命力で抵抗
 術者の霊格以下の悪魔に対して使用します。抵抗に失敗した悪魔はただちに魔界へ送還されます。
 この呪術は何らかの手段によって現世に召喚されたり、さまよい出たりした悪魔に対してのみ効果を持ちます。もとからこの世界に存在していた悪魔や造魔、悪魔人などにはまったく効果がありません。
消費:8
 
叫魂(きょうこん) 通常/生命力で抵抗
 気を乗せた音により対象の魂にショックを与え、半ば魂の抜け出た状態に陥らせます。抵抗に失敗した対象は、精神的な朦朧状態になります。4差以上で失敗すると「無意識(無力化される効果(『ベーシック』p.406))」になります。
消費:3 準備:2秒
 
収魂(しゅうこん) 通常
 まさに身体を離れんとする魂を引き戻し、対象を蘇生させます。「蘇生(『ベーシック』p.402-3)」を試みる際、<医師>や<応急処置>の代わりに使用することができます。この呪術の判定の際には、これらの技能にかかるものと同じ修正があります。また、同じ対象にこの呪術を試みるたびに−2ずつペナルティが加算されてきます。
消費:4 準備:1分
 
嘯呼晴雨(しょうこせいう) 範囲
 雲や霧を呼び、あるいは吹き払って、範囲内の天候を操作することができます。
天候は快晴・晴天・曇天・雨・雷をともなう大雨のいずれかに分けられると考えてください。このうち、現在の天候から1段階変化させるのに1分の時間が必要です。霧を呼んだり、吹き払ったりするのはどちらも1分です。
 この呪術によって、特定の対象に被害を与えることはできません。
持続:1分・維持も同じ 消費:1/2・最低10 準備:1分
 
五雷法(ごらいほう) 射撃
 五臓で練り上げた気を、破邪の雷と化して放つ秘術です。この呪術は射撃呪文ですが、命中判定の際には「噴射」攻撃として扱います。つまり、目標までの距離や相対速度によるペナルティを受けることがありません。この攻撃は「サージ(『ベーシックp.103』)」効果を持ち、エーテル体やアストラル体の悪魔にも有効です。射程は「タオ」の修得段階×3メートルです。
消費:3〜9、エネルギー3点ごとに2D×「タオ」の修得段階ダメージ 準備:1〜3秒(消費エネルギー3点ごとに1秒)
 
欲来見形符(よくらいけんけいふ) 符術/知力で抵抗
 符を貼った場所を中心とした半径呪術レベル・メートルほどの空間に、ある地形を現出させます。この地形は自然のものでも、人工のものでも構いません。ただし、この呪術でその空間に存在する道具などまで作り出せるわけではありません。
 この地形を見た者は、知力で抵抗判定を行います。成功すれば、この呪術の効果をまったく受けることなく、その地形を通り抜けることができます。 失敗した者は、その地形による効果を完全に受けます。断崖に落ちてダメージを受けるかもしれませんし、水に溺れることもありえます。
持続:1分 消費:5
 
替身符(たいしんふ・至難)  符術・防御
 一度だけ、あらゆるダメージを咒符に肩代わりさせることができます。この咒符はかならず作成時に身代わりとなる人物を特定しなければなりません。また、1人のキャラクターは1度に1枚しかこの咒符の効果を得ることはできません。複数枚の替身符を1人のキャラクターに対して作成した場合、そのキャラクターの受けた攻撃はすべての符が受けてしまいます。
持続:1時間・または効果が発揮されるまで 消費:7
 
八門遁甲符(はちもんとんこうふ・至難) 符術/知力で抵抗
 本来は特殊な地形でしか使用することのできない風水の秘術・八門遁甲陣を、8枚でひと組の特殊な咒符を用いることで、あらゆる場所に現出させます。この呪術は空間全体にかけますが、範囲魔法ではないことに注意してください。
 この呪術を使用するには、まず陣を敷く場所を中央にして、八方位の正確な位置に一枚ずつ咒符を張り巡らせておく必要があります。陣の半径は、最大で術者の「タオ」の修得段階×呪術レベル・メートルまでとなります。
 この陣に足を踏み入れた生物・悪魔は、ただちに知力で抵抗判定を行わなければなりません。失敗すると、無限に続く方陣の迷宮をさまようことになります。犠牲者は24時間かけるごとに1回、知力または<宗教儀式/タオ>で抵抗判定を行い、成功すれば脱出することができます。GMの判断によっては、何らかの故事(<歴史>や<文学>など)が脱出に役立つことにしても構いません。
持続:24時間 消費:14・維持は半分 準備:咒符を貼り終えた後、さらに1時間
 
 
 
タオについて

 
 見ての通り、咒符を用いた呪術が非常に多くなっています。これは、例によって『柔構造』様の「符術」を参考にさせていただいたためということもありますが、実は『覚醒篇』の「タオ」における符を用いた術の多さをそのまま反映したものでもあります。もともと『誕生篇』の時点では「符術」と「タオ」に分かれていたものが後に統合されたためにこのようなことになったのでしょうが、今回の「タオ」作成にあたってもそうした事情を反映させてみました。あまり「符術」的なものにイメージを限定されたくないというプレイヤーがいたら、いくつかの呪術を咒符を用いないものに改変してもいいでしょう。その場合、消費エネルギーを1〜2割上昇させ、持続時間を軒並み1分ほどにするとバランスが取れるはずです。
 そんな偏ったデータに「タオ」と名を付けたわけですが、タオ、つまり道教は、本来長い歴史と膨大な数の信者を持つ、非常に大きな宗教・思想体系です。一般には春秋・戦国時代にその基礎が築かれたとされますが、その後老荘思想や仏教と結びついたり、神仙となり天に至ることを目的とする、いわゆる神仙思想を取り込んだりと、現在に至るまで複合的な発展を続けてきました。「中国に古来より伝わる、緩やかな宗教的相関関係」一般を称して「道教」といってもいいぐらいかもしれません。このあたりは、同じく雑多な宗教文化を持つとされる日本よりも、さらにカオス的なものがあります(この国では日本に比べ、長らく民衆が宗教の主な担い手であったことに深く関わってくるのでしょうが、それは割愛)。道教を信仰に持つとされる人々にとっての自覚的な意味では、「儒教」とほぼ同義に用いられることもありますが、ここではより呪術的・現世利益的な側面を強調しています(カルトマジックとしてデータ化したものすべてがそうなのですが)。
 データとしては、防御的なものを中心として、味方の補助からちょっとした絡め手まで、さまざまな呪術(ちなみに道教では、いわゆる呪術を総称して「方術」、それを操る人々を「方士」といいます)がバランスよく揃っています。回復手段がないのがネックになりますが、そこはタオの秘術、煉丹術(=<錬金術>)によって生み出された霊薬に頼ることになるでしょう。
 このカルトマジックの意義は、やはり符を使う術をどう使うかにかかってきます。符術は、同様の効果を持つ他の呪術に比べておおむね準備時間が短く、持続時間が長いのが特徴です。反面、相手に咒符を貼り付けなければ効果がないため、戦闘ではいろいろと頭をひねることになりそうです。上に書かれている方法のほかにも、矢や手投げ武器に付けて飛ばしたり、罠として貼っておいたり……プレイヤーは積極的に提案してください。
 

 
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