戦争

「どうして戦争はなくならないのかな」
 そうたずねられ、Lはちょっと考えたあとで答えた。
「人の憎しみがなくならない限り、戦いもまたなくなりません」
「じゃあ、どうして憎しみはなくならないのかな」
「おそらく、話が噛み合わないからでしょう」
「でも」
 は眉間を固くした。不機嫌そうに口角を下げる。
「相手が話を聞かないんじゃ、どうしようもないじゃない」
「そうかもしれませんね」
 Lはふっと微笑をふくんだ。そのまま睫毛を伏せる。
「ねえ、L。ところでさっきの話だけど」
「ああ、外出の件ですか? ダメです。許可できません」
 途端、の瞳に冷ややかさが浮かびあがった。
「私たちも、そのうち『戦争』することになるかもね」
「大丈夫です。そのときはきっと和平を結んでみせます」
「できるといいね」

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