雪と少年
窓外に雪がちらつきはじめた。地面に少しずつ降り積もり、翌朝には一面を白く飾り立てるだろう。
窓ガラスに手をつき、外を見つめたまま、
は背後のニアにたずねた。
「雪ってなんだか、ニアに似ていますね」
「色だけで判断してませんか」
白い顔で彼女を振り返る。玩具を構う手を止めた。
雪はどれだけ厚く重なっても、春の陽光のおとずれとともに、急速に溶け出してゆく。
の目に、寂しさが浮かび上がった。
「……ニアは、消えませんよね」
ニアは表情をこわばらせた。繊細な髪を一筋つまみ、毛先を触るしぐさをする。
「大丈夫。消えませんよ」
この言葉を嘘にしたくないと、ニアはそう思った。
を二度と悲しませないために。