玩具の価値

「ニアにとって、玩具って何?」
「……触っていると落ち着くんですよ。トランキライザみたいなものでしょうか」
「ふうん」
 はどうでもよさそうに相槌を打ったあと、ほんの少しだけくちびるを引き締めた。懸命に平静を装いながらたずねる。
「じゃあ、私は?」
「大事な玩具です」
「結局、玩具なんだ」
「でも、私の命と引き換えにしても惜しくない、その程度には大切な玩具ですよ」
 彼女は気恥ずかしげに目を伏せた。しかしすぐに顔をあげ、わざと怒ったそぶりをする。
「素直じゃないんだから」
 ニアはを見返し、淡く微笑んでみせた。

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