葬送

 は泣くのに疲れ果てた様子で、月に寄りかかった。
 親族に見送られる霊柩車を、少し離れたところからじっとながめる。
 彼女は何事か言おうとして、口を開いた。嗚咽にまみれた声が漏れる。
「月……」
 月は懸命に耳をそばだて、一言も聞き逃すまいと躍起になる。
「私……もう死んじゃいたい。呪われてるんだよ、私」
「そんなバカなこと言うな」
「幼馴染だから、ずっといっしょに育ってきたから、知ってるでしょ? 私が付き合う人は、皆死んでいく。今度の人とは、もう婚約もして、結婚だって考えてたのに。それなのに……」
 立っている気力すらないらしく、その場にくずおれかけたところを、すばやく月が支えた。の肩を抱き寄せ、力強い口調でささやく。
「きみが悪いんじゃない。……ただ、運が悪かっただけだ。それだけだ。間違っても、自分が彼らを死に追いやっただなんて考えるな」
 また新たな涙を飽和させ、すがりついてくる彼女の震える背中を抱きとめながら、月は人知れず酷薄な笑みを口端ににじませた。

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