子供たちの遊び場はどこにでもあった。

 広大な庭には色とりどりの花が咲き誇り、彼らのために設置された遊具が並ぶ。

 大人たちは子供らに敷地の外へ出ることを禁じたが、その代わりに一日を好きなように過ごすことを許した。
 大人たちは子供らにテレビや情報誌を見ることを禁じたが、その代わりに彼らが望むものをなんでも買い与えた。

 藤代(ふじしろ)の里にとって、子供は宝だった。

 彼らは特に楔姫(くさびひめ)と呼ばれる女児を有難がり、彼女らを乳母日傘(おんばひがさ)で育てた。
 それがいずれ一族にさらなる財をもたらし、この輝かしき栄光をより確固たる物にすると信じていたからだ。



「雪絵(ゆきえ)も学校に行って見たい」

 そんな風にぼやいて、少女は肩口あたりまで伸びた黒い髪をさらりと払う。
 年の割には大人びた仕草をする彼女をぼんやり眺めながら、妹の華絵(かえ)は聞きなれない単語に小首を傾げた。

「学校ってなぁに?」
「子供が集まって勉強するところ」
「……勉強ならおうちでしてるのに?」
「普通は学校でするんだよ」
「……ふぅん」

 たった2つ違いとは言え、やはり姉だけあって雪絵は物知りだ。
 しかし、華絵の知っている子供は誰一人「学校」なる場所へは行っていないはず。
 一体どこの世界のどんな子供が、そんな風にして勉強しているのだろう。

「ねぇ、女中(じょちゅう)さん。学校ってどこにあるの?」

 夕食の支度に追われる忙しないキッチンにふらりとやってきた少女は、近場にいたエプロン姿の女中の腰を引っ張ってそう尋ねる。とにかく使用人の多い屋敷の中で、華絵は見かけた使用人を全て「女中さん」と呼んでいた。

「学校……ですか」
「お姉ちゃんが教えてくれたの。子供はそこへ行くのが普通なんだって」

 女中の顔が徐々に青ざめていくその理由が、幼い華絵には理解できなかった。
 もとよりぼんやりとした性格で物事の機微には疎い少女だったから、その後すぐに上女中(かみじょちゅう)に呼ばれ「学校」なる場所の不必要さを説かれた時も、その日の夕食の席に姉が現れなかった理由も、深く考えたりはしなかった。

 結局その日以来、姉の雪絵も「学校」の二文字を口にすることが無かったため、華絵はあっさり事を忘れ、何の疑念も持たず、また日がな一日里の子供と遊ぶ日々に戻っていった。



 藤代(ふじしろ)の里は、静岡県と山梨県の県境付近、とある山中奥深くに存在する。総人口2000人強という、小さな市町村にも匹敵する広大な私有地だ。

 その東端に建つ荘厳な洋館「藤代邸」が、大手製薬会社である「富士白(ふじしろ)製薬」の本元であり、「藤代財閥」の本家であり、時期総理と名高い現財務大臣「藤代武永(たけなが)」の生家でもあることは公の事実であるが、その巨大な箱庭の中で世間から隔離されたように育てられている児童たちについて知るものは少ないだろう。

 情報は遮断され、事実は歪められる。

 華絵は学校を知らず、貨幣の価値を知らず、社会の何たるかを知らずに暮らしていた。
 女中たちは皆「女中」という生き物なのだと思って育ったから、彼女らが下働きに精を出すことは当然だと思っていたし、不満があれば大人たちが解決してくれるのが当たり前だと思っていた。
 里には親戚筋の者や、家の内情に通じた者しか存在していなかったから、どこへ行ってもこちらから名乗る必要は無く、何をしていても蝶よ花よともてはやされた。

 姉は時々そんな現状を不自然だと嘆いたが、その意味が華絵には理解できなかった。

 そんな華絵が、たった一つ知っていることがあった。
 胸に秘めた淡い思い。恋心だ。

 日が暮れ出すと、華絵は日中駆け回ったせいで汚れた洋服を脱ぎ捨て、お気に入りの着物に袖を通し、藤代邸から徒歩10分ほどの離れにある分家、染谷(そめや)邸に向かう。

 昭和初期を思わせる洋風な造りの藤代邸とは違い、庭にしだれ梅が植えられた日本家屋の染谷邸で、照明が照らす長い縁側に腰掛けていると、どこからともなく出てきた染谷の女中が華絵に会釈をした。

「楔姫さま。よろしければお菓子を召し上がりませんか?」

 すっかり二つ名として馴染んだその呼び名に、華絵は小さく頷く。
 どこへ行っても親族だらけのこの里で、拒絶されることなど経験したことのない華絵だが、染谷家の人間はことさら華絵に親切だった。華絵を名前でなく、二つ名で呼ぶのもこの家の者に多い。

「あの……レンはいつ帰ってくるの?」

 出されたクッキーの端っこをかじりながら女中に尋ねると、彼女は微笑んで「もうじきですよ」と答える。しばらくそうしていると、隣でじっとしていた女中がパッと顔を上げて、ぼんやりと遠くを見ていた華絵にそっと耳打ちをした。

「レン様が帰ってまいりましたよ」

 彼女はそう言ってそそくさと姿を消してしまう。
 慌てて辺りを見回した華絵の目の前で、しだれ梅の上方からふわりと浮き出てきたかのように一人の少年が姿を現した。彼は塀を越え、梅の木を伝い、足音も無く地面にたどり着くと、そこに佇む華絵の姿を見てハァ、とため息を零す。

「どうして毎日来るんですか」

 子供らしからぬ淡白な声色で、少年が言う。
 いつ押しかけても丁寧に迎え入れてくれる染谷家で、彼だけがいつもそんな風に言っては華絵の表情を曇らせた。

「……ごめんなさい。あの、レンと遊びたくて」
「疲れてるから、飯食って寝たいです」
「…………」

 少年はそう言いながら、額の汗をぬぐった。
 目元にかかっていた黒い前髪が、汗に濡れて額の左右に分けられると、整った目鼻立ちがよりはっきりと浮かび上がる。 

 昔から彼は目立って美しい面立ちの少年で、里に住む同年代の少女をたくさん虜にしていたし、そのガラス玉のように透明な青い瞳には不思議な吸引力があって、華絵もまた、物心がついた頃から彼に淡い思いを抱いていた。

 しかし、誰よりもこの里で重宝される「楔姫」の二つ名を持ってしても、染谷レンは華絵に愛想を振りまいたりしなかったし、日が暮れてから着飾って押しかけられることを歓迎もしない。そんな彼の態度に、華絵はいつもただ戸惑うことしか出来なかった。



 その年の春。
 代わり映えのしない平和な里の中、華絵は雪絵と午前中のうちに自宅学習を済ませ、庭のブランコに揺られながら暇をもてあましていた。
 雪絵といえば近頃は大人たちが読む「新聞」なるものに夢中で、もう華絵との人形遊びやおままごとに付き合ってくれることはなくなった。大人たちが読む文字ばかりのあの紙の何が面白いのか華絵にはさっぱり分からなかったが、女中の子供たちと遊んでも彼らは機械のようにこちらの指示を待つばかりで、雪絵と遊ぶような楽しさは得られない。

 庭に咲いたコスモスの上をブランコで揺られながら、華絵はふと、他の家の子供は普段どう過ごしているのか気になった。下働きの子供たちではなく、自分と同じ立場にある親戚の跡目たちだ。

 里の中枢ともいえる本家藤代邸の周りには、それをぐるりと取り囲むように、名高い分家が存在する。

 たとえば染谷(そめや)、久々宮(くぐみや)、我妻(わがつま)、阿久津(あくつ)などの分家は、幼い華絵でも覚えられるほどよく耳にしているし、何かといえばあちらから挨拶の顔見世にやってくるので、その家の子供たちとも交流が深い。
 しかし彼らが日中、どんな風にすごしているのかはよく知らなかった。

「あの人たちは「イヌ」の筋だから。イヌの子供は我妻のところで訓練するんだよ」

 大人の目を盗み自室で本を読んでいた姉は、華絵の質問にそんな風に答えた。
 もとより理解など求めていないようなぶっきらぼうな物言いに、華絵の謎は深まる。


「イヌってなぁに? わんちゃんのこと?」
「ううん。鬼のことだよ」

 華絵が首をかしげると、言っても無駄だと言わんばかりの呆れ顔で、姉はそれ以上の説明をしてはくれなかった。
 その夜華絵はベッドにもぐりながら必死に姉の言葉の意味を考えてみたが、やはり見当も付かず、翌朝ベッドを抜け出し、自分では滅多に足を向けることの無い我妻邸へと向かった。

 家を出て、続く坂道をまっすぐ南西方向へ降りた場所に、我妻邸の所有するその施設はあった。

 「調査員養成施設」と掲げられたその建物は、長く高い塀とその上に張り巡らされた鉄線によって外界と隔てられていたが、門衛の職員はふらりと現れた本家の令嬢の姿を見るなり慌てて姿勢を正し、彼女を施設内へエスコートした。 

 土地の半分を占拠する白い建物内は立ち入り禁止だと言って、職員は整備された広いグラウンドへ華絵を誘う。

 華絵はそこで、設置されたアスレチック用具らしき物の上を、軽々と飛び回る少年たちの姿を見つけた。

 獣のような瞬発力で真っ直ぐに立てられた長い二本の棒を交互に蹴って駆け上がったり、広い間隔で地面に置かれた丸太の上を空中で回転しながら渡る少年たちは、さながらサーカスの曲芸のような動きで華絵を驚愕させた。

「なかなか筋がいいでしょう。今あそこで跳ねているのは阿久津家のイヌです。彼はよく飛ぶんです」

 どこか誇らしげな職員が白い髪の男児を指差す。
 その奇抜な髪の色には華絵にも見覚えがあった。普段は分厚い眼鏡をかけていて、お正月の席などでは常におどおどしている気弱そうな男の子といった印象だったが、青い空の下自由に飛んだり跳ねたりする彼は普段の印象とはまったく違って見える。

 しかし次の瞬間、華絵は思わず驚愕の声を漏らした。

 グラウンドの中央より離れた片隅で、黒い制服に身を包んだ職員らしき大人が真剣をかざし、丸腰の少年と対峙している姿が見えたからだ。
 職員の男は少年めがけて走り出し、熟練された素早い振りで彼に切りかかるが、少年はそれをひらりとかわし、すぐさま襲い掛かる次の手も正確にかわし切る。両者は徐々に速度を上げ、今はもう、華絵の目では追いきれないほどの速度で繰り返されている。

「あそこで捌(さば)きの鍛錬をなさっているのがレン様です。お見えになりますか? 彼はこの養成所でも一番優秀ですよ。まだ幼いのに技巧が優れているんです。染谷のイヌは昔から技巧派と言われてまして」

 隣で語る職員の声が耳に入っては通り抜けていく。
 あの凶暴な刃先がいつレンを捕らえるか、そう思うと華絵はいてもたってもいられずに両手を握り締めた。

 やがて少年はわずかに後退し、剣から逃れた瞬間地面を蹴って大きく宙を舞う。剣を構えた職員も駆け出して後を追うが、少年は広いグラウンドを縦横無尽に跳ね上がり、その手から逃れ続ける。地面とあらゆる障害物を上手に使って剣先から逃れ続けていると、そのうち体を覆うようにして青いオーラが発光しはじめ、華絵は我が目を疑った。

「鬼火ですよ。青い鬼火はめずらしいですよね。久々宮のマキ様も青い鬼火ですけど、レン様の鬼火はもっと鮮やかで明るい色をしてらっしゃる」
「……鬼火……?」
「彼の鬼火は類を見ないほど美しいと評判ですよ。さすが姫様のイヌだ」

 理解の範疇を超えた職員の言葉を、華絵は頭の片隅で聞いていた。
 しかしそれについて考え込むより先に少女は駆け出す。
 これ以上続けたら、いつかあの剣がレンの体を傷つけるに違いない。

 少女は後先考えずに体ごとその場に飛び込むと、神経を研ぎ澄ませていた剣の使い手に悲鳴を上げさせた。

「うわっ……!!」

 突如タックルしてきた幼い少女を何とか傷つけまいと、職員が咄嗟に握っていた剣を空高く放り投げる。もつれて倒れた二人の頭上高く舞うそれは、やがて宙で力をなくし、重力のままに二人めがけて落下し始めたが、空中で隼(はやぶさ)のように素早く切り込んできたレンの蹴りによって軌道は逸れ、剣はガランと音を立てて地面に落下した。

「楔姫様っ!」

 レンはそう叫び、地面に着地するや否やバネのように駆け出し、まだ倒れこむ華絵の肩を抱えあげる。
 彼がそんな風に声を張るのをはじめて聞いた華絵だったが、頭が真っ白になってしまって言葉が出てこない。

「怪我は、お怪我はありませんかっ?」
「……」

 そう尋ねられ、職員の男ともつれて倒れた際に地面に膝をこすったことを思い出す。
 ワンピースの裾から覗く膝頭にうっすら血が滲んでいるのを見た華絵は、ちりちりと痛むわりには大したことのない擦り傷だったことに安堵した。しかし彼女を支えるレンは苦悩を顔に浮かべていたし、彼女を案内した門衛や、一緒に倒れこんだ職員は蒼白の面持ちだった。



 その日一日は、我妻の養成所で起きた一件で里全体がざわついていた。

 施設の管理責任者である我妻家の当主は現場にて職員から事情を聴取し、その後藤代邸へと事情説明におとずれる。話を又聞きした各分家の者もまた、我妻の申し開きを酒の肴にするためにゾロゾロと本家へ集まり出した。

 大人たちが大事な話し合いをするので、と女中に言われ、雪絵と華絵は夕食まで子供部屋から出ることを禁じられ、二人は床に寝転がってお絵かきに興じる。

 とはいえ華絵は内心穏やかではなかった。

 自分のせいで大人たちがざわめいているのは明らかだったから、もしこの膝の擦り傷のせいであの場にいたレンにまで迷惑がかかってしまったら。そう思うと落ち着いていられない。

「……私が勝手に見に行ったんだよ。レンは悪くないんだよ」

 あふれ出る自責の念を、他には吐き出せないから隣にいる姉に吐き出す。
 すると、雪絵は画用紙に目を落としながら口元だけで笑みを作った。

「だから言ってるでしょ。この家はおかしいって」
「もう痛くないよ。こんな怪我……すぐに治るよ」

 言いながら、華絵の瞳には涙が浮かび始める。
 レンを救いたい一心で「痛くない」と連呼する妹を、雪絵は哀れむように見つめた。

「そういうことじゃないんだよ華絵。まだ分からないの?」
「え……」

 姉の言葉の真意が分からずに、華絵が首を傾げた次の瞬間、バタンと大きな音を立てて子供部屋の扉が開かれた。
 驚いて同時に顔を上げた姉妹の目に、怒りで眉を吊り上げた少女の姿が映る。

 はしばみ色の瞳と同じ色をした髪。それをポニーテールでまとめた少女は、華絵たちよりも少しだけ年上の我妻の娘、国枝(くにえ)だった。

「あんたのせいで、うちの人たち、10年幽閉の刑だよ」
「……え」

 戸惑う華絵を睨み付けて、国枝が言う。

「あんたを施設に入れた人も、あんたに押し倒された人も……二人とも地下の座敷牢に10年。出てくる頃にはおじいちゃんだよ。もう生きてないかもね。そしたらあんた人殺しだから!」
「……ど、どうして……」
「あんたが余計なことするから! あんたが馬鹿すぎるからだよっ!」

 声を張り上げながら大股で近寄る国枝と華絵の間に、すかさず雪絵は割って入り、顔を上気させて怒りをあらわにする相手を見上げる。

「出て行きなさい。分家の分際で、本家の楔姫に楯突くつもり?」
「うるさい! 偉そうにして、お前なんてただの役立たずじゃないか!」
「なっ……」
「雪絵なんて、役立たずの長女だってみんな言ってる!」
「……っ」

 少女の肩が怒りと屈辱に震える。
 雪絵はぐっと唇を噛み締めると、そのまま部屋を飛び出して行ってしまう。

 その後姿を呆然と見つめながらまだ混乱の渦中にいる華絵の髪を、国枝はわしづかみにして持ち上げる。

「あんたのせいでレンまで罰を受けることになるかもしれないんだ!」

 強引に髪を引かれる痛みを感じながらも、その言葉に華絵の心臓が跳ねた。

「どうして……っ!?」
「あんたなんて大嫌いだ! あんたみたいな楔(くさび)いらない!」
「痛いっ! 国枝ちゃん、痛いよっ……!!」

 身をよじればブチブチと数本の髪の毛が引きちぎられ、華絵はその場にうずくまって痛みを訴える。しかし烈火のごとく怒った国枝の力は増すばかりだ。
 ついには限界を感じて悲鳴をあげようと華絵が息を吸い込んだ瞬間、突然彼女は痛みから解放される。

 ほっと安堵して顔を持ち上げた華絵の前では、間に割って入った片腕によって制止され悔しそうに後ずさる国枝と、そんな彼女を睨み付けるレンが立っていた。

「やめろ国枝」
「……だって!」
「この部屋から今すぐ出てけ。二度と楔姫に手を出すな」
「……どうしてっ」
「出ていけ」

 冷静なレンの声には子供らしからぬ凄みがあり、さすがの国枝も奥歯を噛み締めながらすごすごと後ずさる。
 彼女がそうやって部屋の外まで出るのを見ると、華絵はほっと胸をなでおろし、こらえていた息を吐き出した。

「大丈夫ですか」

 膝を突いてこちらを覗き込む青い瞳と視線が絡む。

「……レン、ごめんなさい。私が勝手に見に行ったの……私が悪いの……」

 申し訳なさとこみ上げる自責の念で、華絵の声は怯えたように震えていた。

「お願い、大人の人に伝えて……私が悪いんだよ……」

 少女の白い頬に大粒の涙が零れる。
 その雫が床に零れ落ちるのをせき止めるように、目の前の少年は両手で華絵の頬を包み持ち上げた。

「俺に謝る必要なんてありません」
「……ごめん、なさい」
「泣く必要もありません。だってあなたは……」

 言いかけて、レンは口を噤む。
 その代わりに彼は指先で華絵の目元の涙を拭い、ちらりと膝頭の擦り傷を確認した後立ち上がった。

「レン……」
「誰にも謝る必要なんて無いですよ。あなたは楔姫なんだから」

 上から見下ろしながら、静かな海面を思わせる青い瞳が告げる。
 彼女の頬を包む手のひらは温かいのに、言葉は冷たく、声は乾いていた。

 謝る必要ないと繰り返す彼を前に、少女が声を詰まらせる。
 温度もないし、色味も味もない。ただ何も無い空虚で静かな瞳から、彼の心を窺い知ることは出来ない。

 すべてを許しているようにも見えたし、何一つ、許していないようにも見えた。