ゆみこ:「みなさんこんばんは。本日は法隆寺より、仏像たちの避難訓練の模様をお送りしたいと思います。
まずはゲストであり、大会委員長である太子からご挨拶いただきましょう。」 太子:「みなのもの、本日はご苦労である。ここに防災の日恒例の避難訓練大会がやってきた! 今年も全員無事避難できるよう、がんばるのだぞ!」 ゆみこ:「あの、みなのものって、ここには私とあなたしかいませんが…」 太子:「これだから何の力も持たない女は…。私の声はテレパシーで法隆寺の全ブツたちに届いておるわ!」 ゆみこ:「はっ、それは失礼いたしました。さすが太子ですね、テレパシーとかわけがわかりません。」 太子:「褒めているのか貶しているのかどっちだ!」 ゆみこ:「(無視して)では簡単に大会概要をお伝えしましょう。 法隆寺を代表するブツたちが、全部で9つのチームに分かれて、 寺域内で火事が起こったという体で、避難の速さを競います。各お堂を出発点として、開始の合図から5分以内に南大門の外に整列していただきます。 また、お堂を出発する際には、必ず全ての窓、扉等を開けてくることがルールとして定められています。」 太子:「今年の大会運営係は、西円堂のブツたちである。薬師が鐘楼の梵鐘を1度撞く。それが開始の合図だ。 その後、薬師には5分間梵鐘を撞き続けてもらう。」 ゆみこ:「夜なのに近所迷惑ですね」 太子:「近隣住民も承知の上だ」 ゆみこ:「尚、西円堂の十二神将さん達が、現場リポーターとして各お堂に配置されています。更に、南大門に近すぎる仁王像は、誘導係としてがんばってもらいます。 ちょっと呼んでみましょう。十二神将さーん、仁王さーん!」 十二神将たち:「はーい」 ゆみこ:「現場からのリポート、それからブツ達の誘導、よろしくお願いしますねー!」 仁王ズ:「任されよ!!」 ゆみこ:「あれ、私の声が届いてる!!無理やと思ったのに。しかも何故か向こうの声もちゃんと聞こえてるし!!」 太子:「私が細工したのだ、感謝しろ」 ゆみこ:「え、そうなん?!ありがとー!!」 太子:「なんかムカツクな…」 |