避難訓練大会 in 法隆寺 ブツの部

由美子:「制限時間が過ぎてしまいましたね」

太子:「まったく…自分達は国の宝、文化財だという自負はないのか」

由美子:「あっと、次のチームが来たみたいです。あれは…上御堂チームですね。なんかちょっと疲れてる上に怒ってるっぽいですが」

十二神将・酉:「優勝候補の一角だったんですが、どうかされたんでしょうか」

上御堂四天王:「どうもこうもない、大講堂チームのヤツらが…!」

上御堂釈迦:「まぁ、落ち着きなさい。このことは後ほどわたくしから太子に申し上げますから」(意味ありげな視線を大講堂薬師に送る)

大講堂薬師:「な、なんですか…」

上御堂釈迦:「フフフ…」

十二神将・酉:「ちょっと怖いですね…;」

太子:「ていうか金堂はどうした!!根本本尊だろ!!」

金剛力士・阿形:「来たぞー!!」

由美子:「ようやく到着したようです、金堂チーム!なんかみんなヘロヘロですね!」

太子:(解説席から飛び出して行く)「無事か釈迦如来!光背とかボコボコになってないだろうな!」

金堂釈迦三尊:「た、太子…なんとか出られました…」

金堂阿弥陀:「太子、どうか釈迦三尊兄さんを休ませてあげて下さい」

金堂薬師:「自分たちが傷つかないように、ものすごい神経を使ってようやく金堂から出られたのですから」

太子:「うむ…そうか、ご苦労だった」

金堂釈迦三尊:「ありがとうございます…」

由美子:「本尊であり国宝であるがゆえの苦労が偲ばれますね」

太子:「む、次が来たようだ」

由美子:「続いては…あの、わらわらしてるのは五重塔チームですね」

十二神将・戌:「あー、ほら落ち着いて下さいよー、ちゃんと整列を…まともに並んでるのは南面のみなさんだけじゃないですか」

北面塑像A:「ブッダ、大丈夫ですか?もしかして既に涅槃に入ったとか言わないでしょうね?!」

北面塑像C(医者):「うーむ…まだ辛うじて脈がありますが…そう長くは…」

北面塑像たち:「おぉぉぉぉ、逝かないで下されブッダぁぁぁぁぁ!!」

涅槃釈迦:(虫の息で)「嘆くなお前達…私は1300年前からこの状態を保っているのだから…」

東面文殊:「ですから結局こうやって出てきたわけで」

東面維摩:「こうして助かることに何か意味があると申されるのか」

東面塑像:「(まだやってるよ…)」

太子:「相変わらず落ち着きの無いヤツらだな」

由美子:「えーと、これで全部…でしたっけ?」

太子:「いや、まだだ。伝宝堂のブツたちが来ていないようだが」

由美子:「あれっ、そういえばそうですね。何かあったんでしょうか…」

太子:「おい伝宝堂担当!どうなっているのだ!」

十二神将・申:「いやあのそれが…どうやらみんな寝てるみたいで…いびきが聞こえてくるんですよ」

太子:「なんだと?!この大事な避難訓練を何だと思っているのだ!おい仁王、ちょっと行って見てきてくれ。」

金剛力士:「わかり申した」


――東院伽藍伝宝堂

金剛力士:(激しく扉を叩きながら)「おーい、伝宝堂のブツたちー!」「どうしたんだー!」

伝宝堂阿弥陀:「ふぁ〜〜…誰やねんこんな夜中に…むにゃむにゃ」

金剛力士・阿形:「むにゃむにゃって…寝てたのか?」

伝宝堂阿弥陀:「当たり前やん!何時やと思ってるねん!」

金剛力士・吽形:「逆ギレされた;」

金剛力士・阿形:「今日は何の日か、ちゃんと予定表に書いてなかったのか?」

伝宝堂阿弥陀:「はぁ?何の日やっちゅーねん」

金剛力士・吽形:「避難訓練の日じゃないか」

伝宝堂阿弥陀:「…避難訓練?あぁ、そんなもんあったな!忘れてたわ、あははー。」

金剛力士・阿形:「あははじゃないでしょうが」

伝宝堂釈迦:「どうしたんです、阿弥陀兄さん…騒々しいですね」

伝宝堂阿弥陀:「なんかな、今日避難訓練やったんやって」

伝宝堂釈迦:「避難訓練?そういえばそうでしたね。すっかり忘れてましたよ、ははははは」

伝宝堂阿弥陀:「そやろ?あはははー」

金剛力士:「……ダメだこりゃ」

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