(症状と、その克服方法)

結婚式やお葬式で記帳する時に手が震えるということで悩んでいる人も案外多いものですが、これは書けい(書痙)と言われている症状であり、SADの代表的な症状になります。

この症状は、他のSADの症状に比べて、ある程度年齢の行った人が悩むことが多い傾向があります。

会社で言えば、課長や部長、所長と言った管理職で、書類にサインをする機会の多い人に多く見られる傾向があります。

また、女性の場合であれば、字を書く時の手の震えと同じように、お客様が来た時に、お茶を出す時に手が震えるという形で現れることも多いです。(この場合は茶けい(茶痙)と言われることもあります。)

また、宴会などでビールを注いでもらう時に、コップを持っている手が震えるとか、乾杯の音頭を取る時にグラスを持つ手が震えてしまうということで悩んでいる人もいます。

そして、これらの書けいの症状に共通することは、人前で手が震えることで、人から変に思われる、気の小さい人間だと思われると感じてしまっていることなのです。

これが対人恐怖症と言われるゆえんなのですが、今はSADと呼ばれることが多くなっています。

しかし、この書けいの症状も、その根本原因は神経症から来ていますから、森田療法の考え方を身につけていく中で、手の震えに対する「とらわれ」が薄れてくることで、少しずつ改善してくるものなのです。

ただ、このためには、ある程度の時間が必要になってきます。

つまり、書けいは薬を飲めば、これですぐに治るという単純なものではないと言えるのです。