(症状と、その克服方法)

休み時間にトイレに行ったにも関わらず、授業中などに何度もトイレに行きたくなる、という形で現れてくるのが、心因性頻尿と言われているSADの症状になります。

この症状は神経性頻尿と呼ばれることもありますが、膀胱とか腎臓の異常から来るものではなく、トイレに行くことで、周りの人から変に思われるのではないかという不安から起こってくる症状なのです。

学校の授業とか、会社であれば会議とか、また、美容院や床屋にいる時など、すぐにトイレに行けないような状況の時に起こりやすい症状なのです。

ですから周りに人がおらず、自由にトイレに行ける状況では、心因性頻尿の症状は起こってこないものなのです。

つまり、その時の状況で、人に一言断らないといけないような状況の時に、実際はそれほど尿がたまっている訳ではないのに尿意を感じ、トイレに行きたくなるというのが、心因性頻尿の特徴だと言って良いと思います。

つまり、頻尿という症状が起こりますが、この原因や背景には人から変に思われたらどうしようという不安が潜んでいると言って良いと思います。

ただ、キッカケは、こういう対人的な要因があるのですが、いったん、心因性頻尿の症状が形成されると、一人でいる時でも尿意を感じやすくなるものなのです。

これは赤面症の人が、元々は人中で赤面していたのが、症状が強くなると、家族など、本来、緊張しなくても良い相手の場合でも赤面の症状が起こってしまうのと同じ事なのです。

つまり、これは心因性頻尿を初めとしたSADの症状が一種の「クセ」になっているからだと言えるのです。
このために、条件反射的に症状が起こるようになってしまうものなのです。

しかし、この心因性頻尿も、その根本原因は神経症のとらわれから来ていますから、森田療法の考え方を身につけていく中で、尿意に対するとらわれが薄れてくることで、少しずつ改善してくるものなのです。

ただ、このためには、ある程度の時間が必要になってきます。

つまり心因性頻尿の場合も、薬を飲めば、これですぐに治療できるという単純なものではないと言えるのです。