(症状と、その克服方法)

大勢の人前で話をしなければならないような時に、あがってしまい、思うように話が出来なくなってしまうのが、あがり症と言われている症状であり、これもSADの代表的な症状だと言って良いと思います。

対人緊張の場合は一対一の時に起こりやすいものですが、あがり症の場合は一対多数という感じで、大勢の人前で起こりやすい症状なのです。

会社や学校で何かの発表をするような時に手や足が震えてしまい、聞いている人達から変に思われたに違いないと悩んでしまうのも、あがり症の場合に良く見られることだと思います。

書けいの場合は、人前で字を書く時に手が震えてしまいますが、あがり症の場合は大勢の人前で黒板に書く字が震えてしまったり、書類を持つ手が震えてしまうという形で現れてきます。

また、あがり症に悩んでいる時は赤面症や多汗症の症状も持っていることが多いように思います。

つまり、大勢の人前で話すような時に、緊張や不安から汗が異常に出てしまったり、顔が火照ってしまうということも多いものなのです。

また、あがり症に悩んでいる時は、自分の症状のために周りの人から変に思われ、避けられていると感じてしまうことが多いものです。

こうなってしまうのは劣等感を強くしているからだと言って良いと思います。

つまり、「劣等感という鏡」を通して周りの人を見ているために、周りの人が冷たく見えたり、自分を馬鹿にしていると感じてしまうことが多いものなのです。

しかし、この、あがり症も神経質性格という内的要因を持った人が、誤った認識に引きずられ、マイナスの行動を繰り返すことで起こるようになった、マイナスの「クセ」から来る症状だと言えるのです。

ですから、森田療法の学習をしていく中で、目的本位というプラスの「クセ」がつき、これに比例してマイナスの「クセ」が直ってくれば、この結果として改善してくるものなのです。

あがり症の場合、昔から催眠療法とかの民間療法が多くありますが、また、最近は抗うつ剤とか、抗不安剤といった薬で治そうとする傾向がありますが、このような症状だけに目を向け、治そうとするのは、森田療法では気分本位の「はからい」の行動になってしまいますので、一時的に症状が治ったように見えても、少し経つと症状が再発してしまうことが多いものなのです。

ですから、森田療法の学習によって根本的に治していった方が良いと思います。